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藤井聡太七段、永世名人の眼前でトップ棋士を撃破!矢倉を新エースに採用か

遠山雄亮将棋プロ棋士 六段
(写真:森田直樹/アフロ)

 4月30日、「ABEMA」の「GWおうちでアベマ」企画第9弾として『おうちでAbemaTVトーナメント2DAYS』の1日目が行われた。

 対局者、解説者は自宅からビデオチャットでつなぎ、ネット将棋の将棋倶楽部24のシステムを使って対局を行った。

 1日目のトリとして、深浦康市九段(48)ー藤井聡太七段(17)戦が行われ、111手で藤井七段が勝利した。

 解説は『第3回AbemaTVトーナメント』のドラフト会議により組成された「チームレジェンド」の3名。

 谷川浩司九段(58)、佐藤康光九段(50)、森内俊之九段(49)だった。

 永世名人2名と将棋連盟会長という豪華解説陣の眼前で、藤井七段は作戦勝ちから堂々とした指しまわしで深浦九段を圧倒した。

対局環境

 藤井七段は自宅のリビングと思わしき場所でビデオチャットをつないでいた。

 スーツ姿での登場が多い藤井七段だが、今回はシャツ姿で私服に近い格好で登場し、プライベートが垣間見える姿をファンは楽しんでいた。

 一方、深浦九段は自宅の仕事部屋と思わしき、静かな環境でビデオチャットをつないでいた。

 ファンの注目が集まったのはそっと後ろに置かれていた地球儀だ。

 将棋ファンであればご存知の方も多いと思うが、深浦九段は「地球代表」とファンに呼ばれている。

 それを意識してのファンサービスだったのだろう。深浦九段らしい、粋なサービス精神だ。

 いまの棋士はネット将棋に慣れはあるものの、ビデオチャットを使っての対局はそうあることではない。

 藤井七段は局後に「緊張した」と語っていた。

対局内容

 先手番となった藤井七段は矢倉戦法を採用した。

 エキシビションマッチとはいえ、注目を集める対局でエースの角換わり戦法ではなく矢倉を採用したのは興味深い。この点は後述する。

 序盤戦、近年見られるようになった矢倉の囲い方から、気がつけば藤井七段が作戦勝ちとなった。

 そして中盤戦、端攻めから攻勢に出る藤井七段。

 深浦九段は、異筋の受けで対抗するも、藤井七段の攻めは的確で、端を突破して優位を築いた。

 端を突破してからは、逆サイドに馬を作って挟撃態勢を作る。

 深浦九段も粘るが、的確な攻めで藤井七段が追い詰めていく。

 中盤戦での藤井七段の正確な指しまわしには、解説の3名も感嘆の声をあげていた。

 終盤戦、深浦九段は最後の攻撃に出たが、藤井七段はその攻めで蓄えた駒を使って綺麗な即詰みに討ち取った。

新エース誕生か

 先ほども述べたように、この注目される舞台での藤井七段の矢倉採用には興味をひかれた。

 今まで先手番では角換わりをエースとして据えており、相居飛車で他の戦法を採用したのは数えるほどだ。

 先日の記事でも伸びた通り、藤井七段は現在対局を行えない状況である。

 対局間隔が空く中で、更なる進化に向けて新エースを磨いていると感じさせられた矢倉での見事な指しまわしだった。

羽生九段が登場

 さて、本日(5/1)も同様の企画がABEMAで配信される

 A級棋士3名と新四段3名によるぶつかり稽古、そしてトリを飾るのは羽生善治九段(49)ー中村太地七段(31)戦だ。

 前年度はタイトル戦への登場がなかった羽生九段。

 竜王戦1組決勝というタイトル戦につながる大一番を7日に控えている。

 羽生九段も、いまは研究の時間がとれて復活に向けての時間に充てていることだろう。

 強敵を相手に今期の活躍を占う、そんな一戦になるかもしれない。

 ぜひABEMAにてご覧いただきたい。配信開始は16時を予定している。

将棋プロ棋士 六段

1979年東京都生まれ。将棋のプロ棋士。棋士会副会長。2005年、四段(プロ入り)。2018年、六段。2021年竜王戦で2組に昇級するなど、現役のプロ棋士として活躍。普及にも熱心で、ABEMAでのわかりやすい解説も好評だ。2022年9月に初段を目指す級位者向けの上達書「イチから学ぶ将棋のロジック」を上梓。他にも「ゼロからはじめる 大人のための将棋入門」「将棋・ひと目の歩の手筋」「将棋・ひと目の詰み」など著書多数。文春オンラインでも「将棋棋士・遠山雄亮の眼」連載中。2019年3月まで『モバイル編集長』として、将棋連盟のアプリ・AI・Web・ITの運営にも携わっていた。

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