建設費が爆上がりする今、「VE」マンションを見分けるポイントを本音で解説
マンション価格が大きく上昇した今、価格上昇の理由としてよく挙げられるのが「建設費の上昇」だ。
「建設費が上がったので、マンション価格が上昇した」というのだが、果たして建設費はどれくらい上がったのだろうか。具体的な金額を出してみたい。
鉄筋コンクリート造のマンション建設費(資材費含む)は、現在坪(3.3平米)あたり100万円強。10年前、建設費が安かった時代から比べると1.5倍ほどになり、今も上がり続けている。
この数字から、マンション住戸1戸の建設費を算出してみよう。
建設費が坪あたり100万円強であれば、70平米の3LDK、1戸あたりの平均建設費はおよそ2200万円となる。ちなみに、10年前はその3分の2で済んだため、1500万円弱だったと算出される。具体的な金額で比べると、高くなっていることがわかりやすい。
不動産経済研究所の調べによると、2022年に東京23区内で発売された新築マンション平均価格は8236万円。8236万円のうち2200万円が建設費となれば、建設費の比率はさほど大きくはない。
が、それは高額の都心マンションにおける話。郊外で分譲されているマンションとなると、話は別だ。
鉄筋コンクリート造のマンションは都心部で建設しても、郊外で建設しても、建設費は大差がない。そのため、郊外では建設費の比率が大きくなってしまう。
東京市部や神奈川県、埼玉県、千葉県で分譲されている新築マンションの3LDKは現在、4000万円台〜5000万円台のものが中心となっている。
仮に4000万円で売られる新築マンションがあったとして、そのうち2200万円が建設費だとすると、建設費の負担が大きいとわかりやすい。他に土地代や販売に関わる費用も必要なので、不動産会社は利益を出すのが大変だ。
そのため、郊外になればなるほど、新築分譲マンションは、建設費の削減に躍起となる。
本当だったら、建設費を削らず、マンションの販売価格を上げたほうがよい。実際、都心部や凖都心部では建設費上昇に伴って新築マンション価格が上がり続けている。価格を上げても売れ行きがよいので、価格を上げやすいのである。
これに対し、郊外部では、販売価格を上げにくい。3LDKで5000万円台までが限界と考える人が多いエリアである、建設費が上がったからといって、簡単に販売価格を上げることはできないのだ。
建設費が上がるなか、4000万円台、5000万円台の価格設定を実現するために行われるのが「VE」。バリューエンジニアリングの略で、性能や価値を下げずにコストダウンを図ることだ。
「性能や価値を下げずに……」とされるが、コストダウンを図りながら、住み心地や使い勝手のよさを維持するのは容易なことではない。コストダウンしたなりの影響が出てくるもの。だから、購入者としてはVE物件をできるだけ回避したい。
もしくは、VEが行われていることを納得した上で、購入を検討したい。
建設費が上がっている今、VEマンションの見極めポイントを解説したい。
最も基本的なVEの手法は……
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