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男子7人制日本代表・岩渕健輔ヘッドコーチ、代表資格取得問題へ言及。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
担当コーチが仕切る練習を冷静に観察(著者撮影)。

 ラグビー男子7人制日本代表の岩渕健輔ヘッドコーチが、海外出身者の代表資格について言及した。5月上旬、都内での同代表強化合宿(正式名称は男子セブンズ・デベロップメント・スコッド府中合宿)中に取材に応じた。

 同代表で代表資格取得を待つ海外出身選手について触れ、その流れで「代表資格についてはカテゴリーを問わず協会を挙げて取り組む必要があります」とした。

 チームは現在、世界サーキットのセブンズワールドシリーズに参戦中。5月25~26日のロンドン大会、6月1~2日のフランス大会でコアチーム(同シリーズに常時参戦可能)残留を目指している。

 2020年のオリンピック東京大会でのメダル獲得を目指す岩渕ヘッドコーチは、イングランドのケンブリッジ大学に留学経験のある国際派。2015年までの4年間は、男子15人制日本代表のゼネラルマネージャーとしてワールドカップイングランド大会で歴史的3勝を挙げた。この国の楕円球界において、得難き人材とされている。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――近い将来、ボーク コリン雷神選手、トロケ マイケル選手が男子7人制日本代表としてプレーできそうです。

「もっと早く資格を得られる準備を、チームとしてはしていたつもりです。彼らはいつ資格が取れるのかわからない頃からチームに帯同し、ハードなトレーニングをしてくれていました。その姿勢に感謝しているし、一方で、早く出場資格を取れるようにしてあげたかったです」

 オリンピック予選を兼ねた今季のワールドシリーズでは、「当該国への帰化」と「当該国での36カ月以上の連続国内居住」などが代表資格とされる。正式に決定を下すのは統括団体のワールドラグビーとあって、同団体への各協会からの個別的なアプローチも必須とされる。例えば、資格取得に問題がなさそうな選手が資格取得に手間取っているのだとしたら、交渉過程に改善の余地があるのかもしれない。

 日本ラグビー協会理事でもある岩渕ヘッドコーチは、こうも続ける。

「(外国出身選手の)代表資格(への取得)については、カテゴリーを問わず協会を挙げて取り組む必要があります。日本のラグビーがいまこういう順位でできている背景には、彼らのような選手(海外出身者)が日本のために戦ってくれていることが間違いなくある。ここは戦略的にユニオンとしてしなければ。彼らの努力にどう向き合うか。それは今年のワールドカップ、来年のオリンピック以降はもっと重要になると思います。連続居住の条件が36カ月から60カ月に延びると決まっているわけですから」

――しかも、高校や大学への留学期間をその連続居住期間に認めないとも取れる文書も存在します(2種類の新時代ベストフィフティーン+2019年以降に必要な交渉力とは。【ラグビー雑記帳】の下部参照)。どう向き合うべきでしょうか。

「そもそも日本のラグビーがこの位置にあるのは、大学、高校からそういう選手が来てくれて、代表としてプレーするユニオンに日本を選んでくれていることがある。(ワールドラグビーが出す)どちらにでも取れるような表現へも、早くから日本ラグビー協会として働きかけ、踏み込んで入らなければならないと思います。彼ら(来日した海外出身者)にとって、自分たちにとって、日本の強化にとっても大事な話です」

――個別の問題ごとに、担当者と話し合うということでしょうか。

「仰る通りです。逆に、それはどこのユニオンでもやっている話です。ニュージーランド、オーストラリアですら――留学という形を取るかは別にして――色々な国の選手がプレーをして、代表資格を取っている。それがラグビーのラグビーたる所以のようなところもある。ルールがある以上、我々はそれに向き合って、一番いい形にしていきたいです」

 適切な強化を図るには、適切な交渉が不可欠。岩渕ヘッドコーチは、日本の楕円球界の未来についてかように考えているようだ。以後、どんな手を打つか。

 

 男子7人制日本代表は現在ワールドシリーズでの獲得ポイントを22とし、降格対象の15位に位置。14位のウェールズ代表を3ポイント差、13位のケニア代表を4ポイント差で追う。強靭な新顔が加われば心強い限りだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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