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日本代表リーチ マイケルキャプテン、指揮官不在時に見せた「理想」の姿とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
右から2番目がリーチ。抜群の存在感。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 4年に1度のワールドカップ日本大会開幕を9月20日に見据えるラグビー日本代表が8月3日、大阪・東大阪市花園ラグビー場でトンガ代表を41―7で制した。参加中の国際大会のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)での星取表を2勝0敗、対戦国との通算戦績を9勝9敗とした。

 この日は試合直前、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが母・モードさん逝去のためニュージーランドへ一時帰国していた。緊急事態に直面したが、バックスペースへのキックと防御の凹凸を突く組織的な攻めで相手を圧倒。一時は接点での球出しに苦しみ停滞も、1対1の局面でも引けを取らなかった。試合後、トニー・ブラウンヘッドコーチ代行とリーチ マイケルキャプテンが会見した。

 以下、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

ブラウン

「非常にタフなテストマッチ。防御は素晴らしい時もありました。チャンスもあり、活かすこともできた。トライも決められました」

リーチ

「こんにちは、きょうの試合は1週間の準備のなかでやろうとしていることをよくできたと思います。先週の反省もクリアできたと思います。ただこの試合のなかで反省点はあって――(それが何かは)試合直後なので(細かくは)わからないですけど――見返して、反省点は反省し、次のアメリカ代表戦に向けていい準備をしたいと思います」

――試合運びについて。

リーチ

「相手のラインアウトでかなりプレッシャーをかけられていた。そしてボールが滑る。そんななか、自分たちの立てたゲームプランを実行しただけです」

――表彰式で、ジョセフヘッドコーチとモードさんの写真を持っていた。きょうのことをどう思って試合に臨んだか。

リーチ

「今朝、ジェイミーのお母さんが亡くなったと知った。チームのスローガンは『ONE TEAM』。写真を持ったのは、そのひとつのメッセージです。パフォーマンスもそうだし、僕たちもジェイミーを思ってる」

――41―7での勝利。仮想サモア代表戦(ワールドカップで対戦)としてよかったのでは。

ブラウン

「良いアドバイスだったと思います。計画をしっかり実行しました。ボールを動かし圧力をかけました。たくさんのチャンスも作りました。ボールを持っている時はアタックを遂行できました。ディフェンスもうまくいったと思います」

――フィジー代表、トンガ代表という体格の大きな相手に連勝。

リーチ

「自分たちの自信になっています。怖さは感じていないです。4年間でサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦)の経験がかなり活きていると感じます。毎週、大な相手と戦って、その怖さがどんどんなくなっている。いままでポリネシアのチームと戦い、最近の日本代表もかなり強くなったと感じます。相手は、たぶん日本代表は変わったと思っているのではと思います」

――昨年6月の対イタリア代表2連戦。初戦で快勝も2戦目で苦しんだ。今回は2連勝。チームの成長した部分は。

リーチ

「今週、それ(イタリア代表戦時の反省)をリーダー陣はわかっていたけど、あえて『いい試合の後にもう1度いい試合を』とは言わなかったです。1週間の準備をいつものようにやりましょうと。で、きょう、ブラウニー(ブラウン)が自分たちにチャレンジを投げてきた。『いい試合の次にどれだけいい試合ができるか。そこが成長に繋がる』。しっかり応えられたと思います」

――38歳のトンプソン ルーク選手への評価は。

ブラウン

「本当に一生懸命練習しています。パフォーマンスはどんどんよくなっている。本当に替えの利かない選手だと思います。ですのでワールドカップへもっとフィットして、世界に彼が最高の選手だということを見せてもらいたいです」

――試合直前に指揮官がいなくなるとわかっても、悪影響は受けていないような映りました。

リーチ

「監督がいなくても勝てるのが一番の理想です。監督とコーチがいなくても選手で考え、反省すること、変えることを考えるのが理想です。ただ、きょうはいないことを周りのブラウニーや長谷川(慎スクラムコーチ)さんがカバーしていました。このチームのよさは、リーダー陣の成長。きょう特に、それを感じました」

 有事にタスクを淡々と遂行できた80分からは、リーチの思う「理想」のチーム像が浮かび上がる。チームは10日、アメリカ代表とのPNC第3戦に挑む。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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