お菓子が激安!価格競争に甘党ノルウェー人が大喜び 不健康だと規制を求める政党も
通常価格の約五分の一!
ノルウェーの復活祭(イースター)の時期には、多くの子どもや大人が大量のチョコレートやお菓子を消費する。売り上げアップを狙い、ノルウェーのRemaを筆頭に、国内の大手スーパーが一斉にお菓子の価格を引き下げた。対象は、ノルウェーでは昔からお馴染みの「スモーゴット」と呼ばれている「量り売りの小さなお菓子」だ。現在の価格は、100グラムあたり2.90ノルウェークローネ(約39円)。ノルウェー人にとっては、タダみたいなものだ。通常価格の五分の一という安さで、スーパーではお菓子の棚が空っぽになる現象が起きている。
カラフルだが、明らかに健康的とは言い難い、数々のグミやチョコレート。スーパーでは特設コーナーが設けられ、プラスチックの小さなスプーンで、好みのお菓子を紙袋に好きなだけ入れて購入する。子どもだけでなく、大人も大好きな場所だ。
53キロ買う人も
VG紙の物価指数によると、2016年1月の小さなお菓子の平均価格は100グラムあたり13.90ノルウェークローネだった。お菓子が激安価格となったのは9日(水)。店によっては1日で1.6トンを売り上げた(Nettavisen)。個人では20~53キロのお菓子を購入する者や(TA)、70キロ分を購入する企業も(BA)。
VG紙では、2.90ノルウェークローネ分を一袋で購入した場合、400~500カロリーをとることになるとしている。
価格下落は生産者に打撃、喜ぶのはスーパーの店長と客
クリスマス、イースター、夏休みなどに特徴的な価格下落は、生産者に大きな打撃を与える。健康的とは言い難いお菓子と、今後も続くであろう食品の価格競争に警報を鳴らす政治家もいる。最初に声をあげた政党は、今回は意外なことに、緑の環境党ではなく、農家からの支持を集める中央党だった。「この価格競争は国民の健康に深刻な被害を与える」とし、「酒やタバコのように、小さなお菓子も規制するべきだ」としている(国営放送局)。
意外?国民の健康を管理する「保健大臣」は、価格競争に肯定的
ノルウェーの食品価格の低下は、自由市場を尊重する保守党と進歩党が担う政権以降、際立つようになった。保健・ケアサービス大臣のベント・ホイエ氏(保守党)は、「もうすぐイースターなのだから、このようなお菓子の価格戦争が起こるのは普通のこと。イースターには、卵の形をした箱にお菓子を詰めて、のんびりしたいものだ。この価格競争がショッキングだとは思わない」とBT紙に回答した。
国営放送局など各報道によると、小さなお菓子がここまで安くなったことはこれまでない。夕飯の代用品にする可能性もあり、子どもよりも大人のほうが消費するお菓子の量を制限できていないのではという健康面を懸念する指摘も目立つ。
Photo&Text: Asaki Abumi