【台風10号】史上初めて5つの台風が朝鮮半島に上陸
史上最大級の勢力と恐れられた台風10号。幸い日本への上陸は免れたものの、多数の負傷者や大規模な停電が起こるなど、九州や沖縄地方で被害が広がりました。
日本を去った10号は、その後まもなくして韓国に上陸、朝鮮半島における今年5つ目の上陸台風となりました。
10号の上陸
7日(月)午前9時頃、10号は「大型で強い」勢力で韓国南東部、プサン周辺に上陸しました。上陸時の中心気圧は955hPa、最大風速は40m/sで、強風域(最大風速15m/s以上の範囲)は直径1,100キロ以上に及んでいました。
韓国気象庁によると、6日からの降水量は済州島で545ミリに達したほか、浦項で42.3m/sの最大瞬間風速を記録したもようです。Korea Heraldによると、298便が欠航したほか、慶州市にあるウォルソン原子力発電所のタービン発電機2基が停止したとのことです。
朝鮮半島には今年5つ目
10号は、朝鮮半島に上陸した今年5つ目の台風となりました。まず台風4号が8月5日に北朝鮮に上陸したのを皮切りに、5号が10日に韓国、8号が26日に北朝鮮、9号が今月2日に韓国に上陸しています。
朝鮮半島への台風の年間平均上陸数は、約1つです。1951年からの台風の記録を見てみると、これまでに1年のうちに台風が5つ上陸したことは一度もありませんでした。過去の記録は2012年と2019年の4個です。
そのうち8号と9号は記録的な強さでの上陸となりました。
8号は、「強い」勢力で北朝鮮に上陸、1951年以降で史上3つ目の「強い台風」での上陸となりました。ほかの2回は2012年の15号、2019年の13号です。
さらに9号は中心気圧950hPaで韓国に上陸し、国内史上2番目に低い気圧となる952.5hPaが統営市で記録されました。なお1位の記録は1959年の台風で、この時には951.5hPaが観測されています。
降り過ぎる雨
矢継ぎ早に台風の直撃を受ける朝鮮半島ですが、6月から記録的な大雨が降っているようです。
韓国では、特に中部などで観測史上最長の梅雨を記録したほどでした。結果、6月1日から8月15日にかけての韓国の平均雨量は920ミリとなり、例年の570ミリを大きく上回って、史上2番目の雨量となったと伝えられています。
例年8月というのは、朝鮮半島へ台風の上陸数が多い月です。盛夏には太平洋高気圧が西に張り出し、その縁辺に当たる朝鮮半島には、台風が通りやすいためです。今年は8月に7つもの台風が発生したこと、さらに海水温が記録的に高かったことなどが、こうした記録を作ったと考えられます。
今年は9月になっても高気圧の張り出しが強く、もし近い将来台風が発生するとなると、再び朝鮮半島が襲われる可能性も否定できません。