ベテランと若手のオールスター捕手2人がいるのに、トレードで捕手を獲得しようとする理由はどこにあるのか
かねてからの噂どおり、オークランド・アスレティックスは、ショーン・マーフィーをトレードで放出するようだ。MLB.comのマーク・フェインサンドは、トレードが近づいていて、獲得に動いている球団はいくつかあるが、アトランタ・ブレーブスがフロントランナーだと報じている。
マーフィーは、28歳の捕手だ。昨シーズンに続く、2年連続ゴールドグラブとはならなかったものの、ディフェンスに優れる。スタットキャストによると、二塁送球の平均ポップタイムは1.90秒前後。フレーミングも巧みだ。守備だけでなく、2021年は17本塁打と23二塁打、2022年は18本塁打と37二塁打を記録し、今シーズンの出塁率.332とOPS.759は、昨シーズンを上回った。FAになるのは2025年のオフなので、あと3シーズンは保有できる。マーフィーを欲しがる球団は、いくつあってもおかしくない。
ただ、ブレーブスは、捕手には不足していない。今シーズンのスタメンマスクは、トラビス・ダーノーが99試合、ウィリアム・コントレラスが57試合、マニー・ピーニャが5試合、チャドウィック・トロンプが1試合だった。4人とも、退団はしておらず、現在もブレーブスに在籍している。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、それぞれ、34歳、25歳、36歳、28歳だ。ダーノーとコントレラスは、どちらも今年のオールスター・ゲームに選ばれた。
来シーズンも、今シーズンと同じ2人体制で臨めばいいようにも見える。一方が故障した場合には、ピーニャかトロンプがいる。
にもかかわらず、ブレーブスがマーフィーを手に入れようとしているのは、コントレラスの守備に不安があるからだろう。今オフにシカゴ・カブスからFAになった兄と同じく、コントラレスは打撃優先の捕手だ。フレーミングのスタッツも、芳しくない。今シーズンは、DHとしても31試合に先発出場した(他にレフトが1試合)。
また、コントレラスがFA市場に出るのは2027年のオフだが、ダーノーは来シーズンが終わるとFAとなる。
今シーズンは、ダーノーとマーフィーがスタメンマスクを分け合い、コントレラスは基本的にDH出場というのが、ブレーブスの描いているシナリオではないだろうか。その後については、マーフィーの捕手1人体制とし、コントレラスはDHのままとするか、マーフィーとコントレラスの2人体制も考えられる。前者の場合は、ロースターに控え捕手が必要になるが、入手するのは難しくなく、費用もそうかからない。
もっとも、マーフィーを獲得できなくても、来シーズンに関しては、ダーノーがいる。何が何でも捕手が必要という状況とは違うので、ブレーブスが想定を上回るプロスペクトを手放すことはない気がする。