街中が「PayPay」だらけになるキャンペーン 年明け以降も続く
PayPayなどの事業者と地方自治体が組んだキャッシュレス決済の還元策が、全国各地で続いています。2023年1月以降も複数の自治体が実施予定なので、調べておくと意外な場所で「おトク」に出会うかもしれません。
「交付金」を活用して還元策を実施
PayPayと地方自治体との共同キャンペーンは2020年7月に始まった後、まだまだ継続中です。先日、筆者が訪れた東京都立川市では「20%還元」が実施中でした。
12月には東京都台東区や東京都八王子市において、予算の上限に達したために前倒しで終了するなど、高い人気があるようです。
こうした還元策は、当初はアプリ普及のためにPayPayなどの事業者がお金を出していました。しかし現在、自治体が実施しているものはコロナ禍における緊急経済対策として作られた交付金を財源として活用しています。
PayPayを用いた還元策は、内閣府のサイトで注目事業として紹介されています。当初はキャッシュレスの普及や地域経済の活性化が狙いでしたが、最近では物価高騰による生活支援の効果も期待されているようです。
もちろん、PayPayだけでなく主要なスマホ決済に平等に対応する自治体もありますが、最も普及率の高い決済手段として、PayPayだけに対応する自治体も多いようです。
立川市の還元策もPayPayのみとなっており、立川駅の周辺には多くの飲食店や商店、コンビニなどの店先にPayPayのポスターが貼られていました。
自治体の還元策は周知にかけるコストにも限りがあるため、情報感度の高い人が得をするものになりがちですが、これくらいの規模になると嫌でも目に飛び込んでくるレベルといえます。
また、PayPayのアプリでは支払い時に「ペイペイ!」という決済音が鳴ります。目だけでなく、耳からもPayPayの存在を意識させられるというわけです。
そんな立川において、筆者がとあるお店で買い物をしていたところ、興味深い出来事がありました。
立川市の20%還元は1回あたり1000ポイントが上限となっているため、5000円の買い物をするのが最も効率的です。
筆者の前にいたグループも、この「5000円」をしきりに気にしていました。しかしレジに通してみると合計金額は4800円でした。それを見たお客さんの1人が、買い物カゴを放置したまま売り場に走っていき、商品をつかんで戻ってきたのです。
レジには列ができていたこともあり、店員さんは制止を試みたのですが、その人にとってはどうしても5000円を超えることが大事だったようです。
こうしたキャンペーンの上限額は消費者の購買行動に影響を与えるといわれていますが、まさに目の前で「行動」を起こす人に出くわしたのが印象的でした。
電子マネーを上回ったQR決済、次の目標はクレカ?
QRコード決済の利用率は上昇を続けています。インフキュリオンによる2022年12月の調査では、Suicaなどの「FeliCa型電子マネー」を上回り、クレジットカードに迫る勢いが感じられます。
立川駅では、「ルミネ」や「エキュート」といったJR東日本傘下の商業施設や、改札内の「駅ナカ」においても、SuicaよりPayPayのほうが目立っていました。
一方、同じ立川駅でもJR東日本と阪急百貨店が提携した「グランデュオ」は非対応。駅前にある「伊勢丹」もPayPayを導入しておらず、20%還元は受けられません。
かといって、これらのお店では閑古鳥が鳴いているというわけでもなく、売り場ではお客さんがクレジットカードを使っている場面をよく見かけました。
まだスマホ決済を使い慣れていない人にとって、一時的な20%還元というのはそれほど魅力ではなく、使い慣れたクレジットカードや行きつけのお店のほうが大事なのかもしれません。
ただ、自治体の還元策は繰り返し実施される傾向にあり、立川市ではもう「第4弾」です。こうしたキャンペーンが続いている間だけでも使ってみるというのは1つの手でしょう。
2023年以降も全国の自治体で似たようなキャンペーンは実施予定となっています。近隣の自治体ではどうなっているか、スケジュールを確認してみるとよいでしょう。