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【練馬】写真家が営むアンティーク空間が魅力の深煎り専門自家焙煎コーヒー店

なかくきくみこカフェライター

カフェライターなかくき くみこが実際に訪れた1,500軒以上のカフェのなかから、大人が心から満足できるような魅力的なカフェを紹介する連載「大人のための東京カフェ案内」。第15回目は、今年3月練馬にオープンした自家焙煎コーヒーショップを紹介します。

経験豊富なフォトグラファーが開いた自家焙煎コーヒーショップ

練馬駅から徒歩9分の落ち着いた住宅地の一角に、2023年3月深煎り専門の自家焙煎コーヒーショップ「67焙煎所」がオープンしました。

外観はモッコウバラやジャスミンなどの瑞々しいグリーンに囲まれ、店内にも様々な植物やドライフラワーが飾られています。陽光がたっぷりと入る開放的な空間には、アンティークチェアやレトロな雑貨がゆったりと並べられ、どこに目を向けても美しい絵を見ているよう。

レトロな家具は「アンティーク山本商店」などで購入
レトロな家具は「アンティーク山本商店」などで購入

同店を営んでいるのは、フォトグラファー歴20年の山口貴弘さん。広告や雑誌でタレントなど著名人のポートレイト撮影を数多く手がける傍ら、写真館を3店舗経営しており、実はここもその一つ。

この店には2つの顔があり、1つは「ろくなな写真館 練馬」、撮影のない日は自家焙煎コーヒー店「67焙煎所」として営業しているのです。主に週末は写真館、平日はコーヒー店として営業していることが多いとのこと。

ちなみに床板から木製ドア、手塗りの壁、ドライフラワーなどの雑貨に至るまで、内装をすべて造り上げたのも山口さん自身。

素敵な空間なので店内で写真を撮るお客さんも多いそうですが、「全部自分が作ったものなので、お客さんが喜んでくれたり褒めてくれたりすると嬉しいです」と、ニコニコと笑いながら教えてくれました。

手回しの小型焙煎機で焼く、コクのある深煎りコーヒー

同店で味わえるのは、手回し焙煎機を使用して焼き上げる深煎りコーヒー。焙煎は10年ほど前から始めたのだとか。

一般的な自家焙煎コーヒー店は、焙煎時間や温度などをコンピューターで管理しながら大型焙煎機で豆を焼いている店がほとんど。しかし、山口さんの使用する手回し焙煎機では1回につき300gほどの少量しか焼けない上、コンピューターも使わずすべてアナログでやらねばなりません。

手回し焙煎機には、一体どんな魅力があるのでしょうか。

以前使用していた現在よりも小型の手回し焙煎機
以前使用していた現在よりも小型の手回し焙煎機

「焙煎機はコンロの上に置いて焼くので火加減はほとんど調節できません。温度は回すスピードで調整するんですね。

豆の焼き色や香り、爆ぜる音、煙の出方などを観察しながら、『ここらへんだ』思った時にスピードを早めるんです。そうすると温度が下がる。焼き上がった豆を冷ましている時に『うん、いい感じいい感じ』ってわかるんです。その瞬間がとても楽しくて」。

山口さんが追求するコーヒーは、「酸味は控えめで苦すぎず、甘さを感じるコーヒー」。何度も何度も焙煎を重ねるうち、理想とする豆が焼けるようになっていったそう。開店から半年が経ち、豆を購入したいと訪れるお客さんも増えてきています。

「のんびりした時間を大切にしたい」想いが作り出す、心地よい空間

大学卒業後は、広告代理店や映像制作会社で働いていた山口さん。仕事の楽しさを感じつつも、心のどこかで「何も成し遂げないままサラリーマンでいていいのだろうか」という思いもあったのだそう。

そこで28歳の春、それまで一番興味のあったフォトグラファーに転向。それから20年間、フォトグラファーと写真館経営の二足のわらじを続けてきました。

仕事面は順調ではありましたが、ここ数年は忙しすぎる生活を変えたいと思うように。日常にのんびりした時間を取り入れるため、コーヒー店を開くことを決意したのだそうです。

この店に穏やかな空気が流れているのは、きっと山口さんの「のんびりとした時間を大切にしたい」という想いが根底にあるからなのでしょう。山口さんにとっても、お客さんにとっても心地よく過ごせる空間となっています。

深煎りコーヒーと一緒に楽しみたい軽食やおやつ

ちょっとお腹が空いていたら、コーヒーのお供に「ホットドッグ」(480円)をどうぞ。

もともとホットドッグが好きだったという山口さん。コーヒーに合う具材を色々と試すうち、この組み合わせにたどり着いたそうです。

ふんわりとした柔らかめのバゲットの上に、ジョンソンヴィルのプリッと太めのソーセージや玉ねぎで作るザワークラウト、チェダー入りのシュレッドチーズがたっぷり。食べ応えのある一品です。

「デニッシュ・バニラ」と「エチオピア・イルガチェフェ・ブナブナ」(500円)
「デニッシュ・バニラ」と「エチオピア・イルガチェフェ・ブナブナ」(500円)

コーヒーはブラジルやエチオピア、インドネシアなどの4種類のシングルオリジンや、ブレンドを用意。ブラックコーヒーが得意でない人にはカフェオレや、黒糖で甘みを加えたコーヒーメニューも好評です。

甘いものが食べたい気分なら、軽くトーストしたデニッシュにバニラクリームを塗った「デニッシュ・バニラ」(280円)をどうぞ。

店の前には山口さん愛用の1980年代製ベスパPK50の姿も
店の前には山口さん愛用の1980年代製ベスパPK50の姿も

営業日や時間については、営業日の前日または前々日に公式インスタグラムで発信されます。営業日が少ないという面ではややハードルが高めですが、ご自身が行ける日と営業日が合う際はぜひ足を運んでみてください。

【店舗情報】
店名/67焙煎所(ロクナナバイセンジョ)
住所/東京都練馬区豊玉中3-14-12 グリーンコーポ豊玉 1F
公式サイト/https://coffee67.tokyo(外部サイト)
公式インスタグラム/https://www.instagram.com/coffee67.tokyo/(外部サイト)
アクセス/都営大江戸線、西武池袋線他 練馬駅より徒歩9分
定休日/不定休
営業時間/9〜19時(日によって変動あり)
※営業日や時間については公式インスタグラムをご確認ください

※新型コロナウイルス感染症対策により店舗の休業や営業時間の変更など、掲載内容と異なる場合があります。訪問される前に最新情報をご確認されることをおすすめします。

※取材では67焙煎所様のご協力により商品を無償で提供頂きました。本記事制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

本連載では、今後も都内にある魅力的なカフェを紹介していきます。ご興味のある方はプロフィールからフォローをして頂けるとうれしいです。

カフェライター

カフェ専門のライターとして、雑誌やWEBで取材記事を執筆。都内を中心に1,600軒以上のカフェを訪問。各メディアにおいて空間・おいしさ・居心地の三拍子揃った「大人が心地よく過ごせるカフェ」を主に紹介している。2024年11月に著書が出版される予定。プライベートでは中学生男子の母で東京郊外在住、身長147cm、性格はのんびり屋。日々のカフェ巡りはinstagramで更新中。仕事実績:リンネル、タイムアウト東京、偏愛東京、CafeSnap、るるぶ&more.、レッツエンジョイ東京、書籍や雑誌にて取材協力、ラジオ出演、新聞掲載、他

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