親切心が大規模ネットワーク障害になる? 抜けているLANケーブルを勝手に挿すと大問題になる可能性
先日、4月1日に那覇市役所で発生したLANケーブルのループ接続による大規模ネットワーク障害についてX(旧Twitter)で紹介したところ、閲覧数が900万件を超えるほどバズり、たくさんの反響がありました。
そのなかでも多かったのが「ウチでも起きた」、「年に何回か起きる」、「オフィスの引っ越しのときにやった」という「同じ障害にあった」という声です。
これを受けて、もしかしたら世の中の多くの人は“LANケーブルをどこにでも挿してはいけない”ということを知らないのではないかと思い、今回、記事で紹介することにしました。
那覇市役所の大規模ネットワーク障害の原因とは?
2024年4月1日の9時30分頃から11時35分まで、那覇市役所庁舎で大規模ネットワーク障害が発生しました。
那覇市役所の説明によると「職員がパソコン端末を移動する際、本来、パソコン端末につなぐべきLANケーブルをネットワーク機器に誤って接続したことが原因」だということです。
いわゆるLANケーブルのループ接続によるブロードキャスト・ストームです。
詳しい内容は日経クロステック(xTECH)が取材(※有料記事)されていますが、掲載しているイラストのように単純に1つのスイッチングハブでループ接続が起きたのではなく、2つのスイッチングハブを繋いだループ接続が原因のようです。
これにより那覇市役所全体のネットワークが繋がらなくなり、業務システムはもちろん、メール、電話、コンビニでの証明書の発行などもできなくなりました。
LANケーブルのループ接続の何が悪いのか?
LANケーブルをループ接続してしまうと、ループの名の通りやり取りするデータがずっと流れ続ける回線ができあがり、データが無限に転送され続けます。
結果として、その膨大な量のデータ転送にネットワーク機器が耐えられなくなり、最終的にネットワークがダウンします。
問題は、システム管理者が何らかの問題が起きたと認識してネットワーク機器を再起動したとしても、ループ接続の状態のままなのでまたダウンしてしまうことです。
LANケーブルが抜けていても親切心で挿さないで!
今回の事例は、席替えのときに抜けているLANケーブルをネットワーク機器に誤って接続したことが原因でした。
おそらくは“LANケーブルが抜けている→近くにポートの空いているネットワーク機器がある→ここから抜けたんだな。挿しておいてあげよう”の親切心で挿したのだと思われますが、やめましょう。
親切心はありがたいのですが、それが原因でループ接続となり問題が発生した場合、(自分では)LANケーブルを挿していないシステム管理者からすると一体何が原因でネットワークに障害が起きているか分かりません。
そしてLANケーブルを挿した人も“抜けていたケーブルを戻しただけ”という認識のため、いわゆる「何もやってない(実際はやってる)」と言いがちなため、原因の特定にかなりの時間がかかります。
これらのことを考えると、那覇市役所が約2時間で復旧できたのはかなり早いと言えます。
LANケーブルが抜けていたらシステム管理者に連絡を
もしもLANケーブルが抜けているのを見かけたら、自分で挿さずにシステム管理者に連絡をしましょう。
“LANポートに半挿しで抜けかけている状態”でも連絡をした方が良いです。作業中なのかもしれませんし、もしかしたら同じように抜けているのを見た人がとりあえずで半挿しの状態にしているだけかもしれません。
繰り返しますが、親切心はありがたいです。しかし、その親切心がネットワーク障害を引き起こす可能性があります。
“ただ挿し直すだけ”ではすまなかった事例が多く報告されているため、抜けているLANケーブルは挿さずにシステム管理者に連絡するようにしてあげてください。