北朝鮮が一度に8発の短距離弾道ミサイルを発射
6月5日朝、北朝鮮が弾道ミサイルを大量に発射しました。韓国軍の観測では4カ所から8発、日本自衛隊の観測では3カ所から6発です。いずれも日本海に向けて発射されています。
韓国と日本で観測結果が違うのは、一部のミサイルが飛距離110km・最大高度25kmと低く、遠い日本からでは地球の丸みの陰に隠れてしまいレーダーでは見えていなかった結果だと考えられます。
日本防衛省の発表した自衛隊の観測結果
韓国軍合同参謀本部の発表した観測結果
おそらくですがこのKN-23、KN-24、KN-25の3種類に加えて、2022年4月16日に発射された新型小型短距離弾道ミサイル(名称不明)と同じタイプが混じっていると思われます。
- 飛行距離110km・・・新型小型短距離弾道ミサイル
- 飛行距離400km・・・ATACMS型(KN-24)
- 飛行距離670km・・・イスカンデル型(KN-23)
- 最高高度25km・・・新型小型短距離弾道ミサイル
- 最高高度50km・・・KN-23およびKN-24
- 最高高度90km・・・600mm超大型ロケット弾(KN-25)
過去の北朝鮮の弾道ミサイル飛行データに照らし合わせると、これらの4種類が発射された可能性が高いでしょう。
関連記事:北朝鮮が初登場の新型ミサイルを公開。小型の短距離弾道ミサイル(核弾頭型):2022年4月17日
北朝鮮6月5日発射ミサイルの推定発射地点と推定着弾地点
韓国軍推定の北朝鮮ミサイル発射地点
- 平壌市の近郊・順安(スナン)
- 平安南道・价川(ケチョン)
- 平安北道・東倉里(トンチャンリ)
- 咸鏡南道・咸興(ハムン)
推定着弾地点の無人島
- 咸鏡北道・花台郡の沖合いの無人島(알섬、アルソム)
- 咸鏡南道・利原郡の沖合いの無人島(난도、ナンド)
- ※なおどちらも卵島という意味(海鳥の産卵場)
咸鏡南道・咸興から咸鏡南道・利原郡の沖合いの無人島まで距離110km。平安北道・東倉から咸鏡北道・花台郡の沖合いの無人島まで距離430km。このため韓国軍が観測した飛行距離670kmのミサイルとかなりズレがあるので、このミサイルについては海上に着弾した可能性があります。
2022年の北朝鮮ミサイル発射一覧
- 1月05日朝 1号 「極超音速ミサイル」
- 1月11日朝 2号 「極超音速ミサイル」
- 1月14日夕 3、4号 KN-23鉄道型
- 1月17日朝 5、6号 KN-24
- 1月25日朝 7、8号 巡航ミサイル
- 1月27日朝 9、10号 KN-23車両型
- 1月30日朝 11号 火星12
- 2月27日朝 12号 火星17(予備実験)
- 3月05日朝 13号 火星17(予備実験)
- 3月16日朝 失敗 火星17(推定)
- 3月20日朝 カウントせず(多連装ロケット4発)
- 3月24日夕 14号 火星15?(火星17の偽装説)
- 4月16日夕 15、16号 新型小型SRBM
- 5月04日昼 17号 火星17(予備実験?)
- 5月07日昼 18号 イスカンデルSLBM型?
- 5月12日夕 19、20、21号 KN-25?
- 5月25日朝 22号、失敗、23号 火星17予備実験?と極超音速兵器?
- 6月05日朝 24、25、26、27、28、29、30、31号 KN-23・KN-24・KN-25・新型小型SRBM?
※失敗2発を含め17回の発射実験で33本のミサイル発射となります。予備実験を含め発射成功は31本です。
※KN-23(イスカンデル型)、KN-24(ATACMS型)、KN-25(超大型放射砲、放射砲は多連装ロケットの意味)、これらは短距離弾道ミサイル(SRBM)。KNナンバーはアメリカ軍のコードネーム。
※600mm超大型ロケット弾(KN-25)は並みのSRBM(短距離弾道ミサイル)より巨大なので、SRBM扱いされます。
※火星12は中距離弾道ミサイル(IRBM)、火星15と火星17は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、SLBMは潜水艦発射弾道ミサイルのこと。
※北朝鮮が発射を報告したのは4月16日の新型小型SRBMまでで、それ以降は北朝鮮自身による発射報告はありません。