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しぶんぎ座流星群が極大に

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
カシオペヤ座近くに出現した「しぶんぎ群」の流星(写真:ロイター/アフロ)

三大流星群の一つ しぶんぎ座流星群

 しぶんぎ座流星群は、8月のペルセウス座流星群(ペルセ群)、12月のふたご座流星群(ふたご群)とともに年間の三大流星群と呼ばれています。極大日前後の数日間にわたって活動するペルセ群やふたご群などの一般的な流星群と比べると、しぶんぎ群は活動が活発な期間が数時間程度と短いことが特徴です。このため、流星の出現数は年によって大きく変わります。

 今年のしぶんぎ群の極大は、日本時間で1月3日の23時から4日の0時頃と予報されています。このため3日の深夜から4日未明にかけてが、観察に適した時間帯となります。「しぶんぎ座」という星座は、現在は存在しませんが、かつて、しぶんぎ座に区画されていた現在のうしかい座とりゅう座の境界付近の放射点から、全天四方八方に流星が出現します。しぶんぎ座流星群の放射点は春の星座に位置しているため、夜半前は放射点の高度が低く、流れる流星数は少なめになります。このため、観察に適した時間帯は、4日の夜明け前2~4時間(東京では4日2時~5時台頃)です。この時間帯は極大予報時刻に近く、今年はまずまずの観察条件と言えます。ただ、観測に適した時間を通じて明るい月が輝いており、暗い流星は見えづらくなります。実際に見える流星の数は、空の暗い場所で1時間あたり最大20個程度と予想されています。

観察の好機となる2021年1月4日午前3時頃の放射点の位置 (提供:国立天文台天文情報センター)
観察の好機となる2021年1月4日午前3時頃の放射点の位置 (提供:国立天文台天文情報センター)

しぶんぎ座流星群の楽しみ方

 流星は空のどこを飛ぶかは予測が付きません。流星群の場合も、放射点のある方向のみに流星が見えるのではありません。群流星の場合、放射点近くでは、ゆっくりとした動きで短い経路のみ輝きます。一方、放射点から離れた方向では、素早い動きで長い線を引いて輝きます。したがって、放射点の位置さえ確認すれば、自分の見ている方向では、どちらの方向からどちらに向ってどんなスピードで群流星が流れるかを予想することが出来ます。

 流星観察では、望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。望遠鏡や双眼鏡を使うと見える範囲が狭くなってしまうため、一般の方の流星観察には適しません。屋外に出てから暗さに目が慣れるまで、最低でも10分間ぐらいは観察を続けるようにしましょう。この時、地上の光が目になるべく入らないように見上げる方向を調整しましょう。群流星が流れる方向は放射点(うしかい座)の方向とは限りません。空のどこを見上げていても、見られる確率は同じです。

 風邪をひかないよう防寒対策や安全対策・コロナ対策をしっかり行い、リラックスした服装・姿勢で、決して無理をせずに新春の天文ショーを楽しんでください。4日の東京での薄明開始時刻は5時20分頃。このため、天気が良ければ、4日の2時頃から明け方まで観察することをお勧めします。

 なお、詳しい「しぶんぎ座流星群」の解説、及び流星群の見方については、国立天文台のウェブページでの紹介をご参照ください。

自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。国際天文学連合(IAU)国際普及室所属。国立天文台で天文教育と天文学の普及活動を担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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