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藤本渚四段(18)王座戦一次予選を突破 年間勝率は0.865に浮上し、依然史上最高記録更新ペース

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月22日。大阪・関西将棋会館において第72期王座戦一次予選▲藤本渚四段(18歳)-△服部慎一郎六段(24歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は19時20分に終局。結果は123手で藤本四段の勝ちとなりました。

 藤本四段の今年度成績はこれで45勝7敗(勝率0.865)となりました。

 藤井聡太王座(八冠)とともに、1967年度の中原誠五段(現16世名人)の年間最高勝率を上回る可能性を残して、いよいよ年度末を迎えます。

関西若手精鋭がぶつかる好カード

 今期王座戦一次予選。服部六段は南芳一九段、狩山幹生四段、船江恒平六段に勝って決勝に進出。一方の藤本四段は平藤真吾七段、矢倉規広七段、高田明浩四段に勝っています。

 順位戦では、服部六段はC級1組に所属。9勝0敗という圧倒的な成績で、最終戦を待たずにB級2組への昇級を決めています。

 一方、現役最年少棋士の藤本四段はC級2組1期目。8勝1敗という好成績で昇級のチャンスを迎えています。

 本局は各棋戦で好成績をあげる関西の若手精鋭がぶつかる、好カードといえるでしょう。

 藤本四段先手で戦型は相掛かり。互いに飛車先の歩を交換し、腰掛銀から銀冠に組み合いました。

 藤本四段は相手の飛車先から逆に歩を押し上げ、飛車を回って逆襲の形をつくります。服部陣は堅さ、藤本陣はバランスを重視した構えになりました。

 藤本四段が服部玉の上部から動いて中盤の戦いが始まります。

 藤本四段が攻めきるか、服部六段がしのぐか、きわどい攻防が続きました。

 123手目。藤本四段は歩頭に▲2三銀と打ちます。この手を見て、服部六段は投了しました。

 投了図で△2三同歩は▲8四飛が気持ちのよい走り。以下△8四同飛ならば▲2二金までの詰みです。

 藤本四段はこれで王座戦二次予選に進出しました。次戦は阿部隆九段です。

 藤井王座に挑戦するまでの道のりは長く、これからも強敵が続きます。

藤本四段、年間最高勝率更新なるか?

 改めて、歴代の年間勝率ランキングを見てみましょう。

 藤井現王座が6年連続で勝率8割台を超え、7年目の今年度も史上最高勝率ペースというのはおそろしいことです。

 近年の藤井王座や、1995年度当時の羽生善治七冠は別として、一般的に高勝率記録は、実力と所属クラスにギャップが生じる、若手の頃に生まれます。いずれ名実ともにトップクラスに進むであろう藤本四段であっても、史上最高勝率を更新できるチャンスは、そう多くはないでしょう。現役最年少棋士の、大記録達成に期待したいところです。

 藤本四段には今年度、まだいくつもの対局が残されています。元名人・佐藤天彦九段を破って幸先のよいスタートを切った、王位リーグでの戦いぶりにも注目したいところです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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