Yahoo!ニュース

日本代表、アイルランド代表に歴史的勝利! 実感は?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
かつては日本でもプレーした指揮官(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表は9月28日、静岡のエコパスタジアムでワールドカップ日本大会・予選プールAの2試合目で2018年欧州王者のアイルランド代表に19―12で勝利。開幕前には世界ランク1位にもなった相手を下し、史上初の同8位に躍り出た。

 試合後、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチとピーター・ラブスカフニゲーム主将が会見した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)

――勝因は。

ジョセフ

「試合ですか? まずテストマッチに我々が勝ちました。自分たちは信念を持って貫きました。やりたいことをやれた。それが勝因です。アイルランド代表はいいクオリティのチームです。ただ彼らはこの試合については今週の月曜から考えていた。我々はこの試合のためにかなりの時間をかけてプレーしました。実質的には3年間、この試合に焦点を当てていたと思います。その意味では、我々にアドバンテージがあった。選手はよくやってくれた」

ラブスカフニ

「メンバー23人以外の人たちも協力してくれて、こうなった。マネジメントもそうです。信念を持ってやりました。自分たちで何か事を起こそうと思ってやってきました」

――防御。守備への評価。

ジョセフ

「キックングゲームではクロスキックでトライされたことで、予期しないところもありましたが、今度は我々が点数を重ねていった。アイルランド代表がフィジカリティで挑んでくることを、我々はわかって準備してきた。ゲームの重要なところで勇気のあるプレーをした。非常に厳しいアイルランド代表のアタックを持ちこたえることができた」

ラブスカフニ

「後半は攻撃に重ね攻撃をされた形でしたが、すぐに立ち上がってラインに戻るということをした。思い描く通りに。チーム全員に誇りに思います」

――相手は日本代表を軽視していたと思うか。

ジョセフ

「そんなことはない・素晴らしいチームだった。向こうは中日が我々より2日、短かった。(大会前は)イングランド、ウェールズと試合をしている。一方、私たちはワールドカップへの準備は他よりも長かった」

――直前にウイングのウィリアム・トゥポウ選手を「左ハムストリングの負傷」で外しています。そして、かねて怪我のため「セレクションの外」だったと話していたウイングの福岡堅樹をベンチに入れました。

ジョセフ

「(トゥポウは)キャプテンズランを行い、ハムが張っていた。肉離れでもなかったが、テストマッチでは心身とも100パーセントの状態の選手を出さなくてはいけない。福岡は来週のサモア代表戦に出そうと思っていたが、予定より早めに戻し、ベンチから出たという形です。最初に大舞台でボールを持った時は戸惑ったと思いますが、局面を打開した(トライや大きな突破がある)。これは来週に繋がる」

――目標はトップ8だった。しかし今日の勝利で目標を変えることは考えるか。

ジョセフ

「チームで話し合うと思うが、いまはこの瞬間を楽しんでいます、楽しもうと思っています。もし今日勝っても(最終戦で)スコットランド代表に負けることもありますし、あまり先を考えすぎずにやっていきたいです。またサモア代表戦があります」

――堀江翔太選手について。

ジョセフ

「きょうのようなパフォーマンスができたのはスコッド全員のおかげ。ごみを拾う選手であれ、堀江のように今日素晴らしいプレーをした選手であれ、全員がこの大きな試合での結果を導いた。堀江は非常に状態もよく、クオリティの高い選手。セットピースの良い選手。私が日本に来た時はそういう風には見えなかったが、いまはXファクターとして非常にいいフッカー。キックもジャッカルもでき、ルースヘッドプロップのようなプレーもする」

――ベンチスタートのリーチ マイケル主将へ期待したこと。

ジョセフ

「リーチを入れたのは素晴らしい選手だから。彼が入って自信を深めてくれた。先発選手の怪我のため思ったより早い投入でしたが、いま思えばあの時間帯でよかった。ハーフタイム。色んなリーダーのサポートが必要でした。皆の総合力でやった。リーチ投入で皆の自信が高まりました。自分たちの仕事の質が高まった」

――1999年頃、「日本代表はメンタルが欠如している」と話していた。この点の改善について。

ジョセフ

「いくつかの要素がある。私たちの取り組んできたことです。コーチはインプットをしてきて、リーダーを作り上げてきた。今夜のように十分に自信を持って判断し、実行し、結果を出すリーダーを育ててきた。これは1週間だけのプロジェクトだけではない。ここにいるピーターがこのような形でプレーするということも大事。チーム文化をこうして作り上げたことがあるのではないでしょうか。それぞれが貢献をするようなチーム文化を作ってきた」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事