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ラ・リーガ王者に何が起きているのか...シメオネ・アトレティコが苦戦している理由。

森田泰史スポーツライター
スペイン王者のアトレティコ(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

昨季、リーガエスパニョーラで2013−14シーズン以来の優勝を果たしたアトレティコ・マドリーだが、今季は序盤から苦戦している。

ルイス・スアレス、アントワーヌ・グリーズマン、ジョアン・フェリックス、トマ・レマル、ヤニック・カラスコ、アンヘル・コレア、マルコス・ジョレンテ…。名前だけ見れば、現在のアトレティコには豪華なアタッカー陣が揃っている。

フェリックスとグリーズマン
フェリックスとグリーズマン写真:ロイター/アフロ

今季のアトレティコにおける公式戦の戦績は4勝3分け1敗だ。ただ、問題はグリーズマン加入後の成績である。夏の移籍市場が閉まる直前にバルセロナから電撃復帰したグリーズマンであるが、それ以降のアトレティコは2勝2分け1敗。勝利したのはエスパニョール戦(2−1)、ヘタフェ戦(2−1)といずれもアディショナルタイムでの得点を含めた辛勝だった。

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■アトレティコの補強プラン

そもそも、グリーズマンがアトレティコの補強プランに入っていたとは考え難い。アトレティコは2年レンタルでグリーズマンを獲得しており、レンタル終了時に買取義務(4000万ユーロ/約52億円)で完全移籍させる運びとなっている。

最大の懸念は、グリーズマンとフェリックスの共存だ。アトレティコは2019年夏に移籍金1億2700万ユーロ(約164億円)でベンフィカからフェリックスを獲得した。他ならぬグリーズマンの後釜として、ポルトガルのヤングスターを確保した。しかしながら、ディエゴ・シメオネ監督のチームで、フェリックスの適応には時間がかかっている。

昨季ブレイクしたジョレンテ
昨季ブレイクしたジョレンテ写真:ムツ・カワモリ/アフロ

アトレティコは昨季、本格的に3バックを導入した。

コケをアンカーに据えた【3−1−4−2】のシステムは、まるでピースが自然と揃うように、嵌った。前線ではジョレンテ、コレア、カラスコ、レマルが躍動して、後方からはマリオ・エルモソのビルドアップが非常に効果的だった。

シメオネ監督がポジショナルプレーを意識していたのは明白だ。彼はプレースタイルの変更を断行しようとしていた。リュカ・エルナンデス(バイエルン・ミュンヘン)、ロドリ・エルナンデス(マンチェスター ・シティ)、トーマス・パーティ(アーセナル)と毎年のように主力を引き抜かれ、何かしらの変化が必要だと感じていた。

先日、グリーズマンについて聞かされた際、「新しいアトレティコに適応しているところだ。以前、彼がいた頃のアトレティコとは違う。コンビネーションプレーが必要で、攻撃の時には良い立ち位置を取らなければいけない」とシメオネ監督が話していた。その言葉に従うなら、5レーンを念頭に置いた攻撃が仕掛けられなければならない。

最前線に、スアレスがいる。2トップの片割れであるコレアが、ハーフスペースに落ちる。ジョレンテが前線にスプリントで出ていく。逆サイドでは、ハーフスペースにレマル、ワイドにカラスコが待ち構える。そういった攻撃が、昨季のアトレティコには、できていた。

だが、今季のアトレティコは、それができていない。シメオネ監督自身、3バックでいくのか、4バックでいくのか、迷っているところがある。

無論、試合中に、交代策を含めて3バックと4バックを自在に使い分けるのは、有効だ。アトレティコで言えば、【3−1−4−2】と【4−4−2】の両システムを主体的に使うだけで、対戦相手を惑わせられるように思う。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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