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先付け、強肴って? 知ってると尊敬される「旅館の料理」の順番をわかりやすく

とらべるじゃーな!穴場ずらし旅、愛好家

宿泊経験500泊。関東圏の穴場ずらし旅の愛好家、とらべるじゃーな!です。

お盆を迎え、旅館で夕食をとる方も多いようです。旅館では、前菜に始まりデザートに終わり、ご飯は遅めというイメージかも知れませんが、実は「会席」料理(お酒と一緒に楽しむ宴会料理)の順番がベースになっています。

今回は知っていれば旅先で尊敬される、旅館の食事の順番と、それぞれの楽しみどころをシンプルに分かりやすく紹介します。

先付けと向付け

旅館の料理のトップバッターは、先付けと向付け(むこうづけ)。

先付けは前菜(青の囲み)にあたり、料理全体の序章ともなり、料理人の力が入ります。楽しみたいポイントは「季節感」。写真の料理では沢蟹が、夏の季節を感じさせます。

向付け(赤の囲み)は、茶懐石では向こう側に置くことから。通常は刺身です。

刺身は足が早い(傷みやすい)ため、実はその旅館がコンスタントな客数を得ているかが分かるところ。楽しみたいのは「新鮮さ」です。

先付けと向付けは、先・向こうと対にして覚えておきます。

焼き物と煮物

先付けと向付けの次は、「物」シリーズ。焼き物と煮物が登場します。

焼き物は、焼き魚やエビが多いです。いずれも過度な味つけをしないことが多く、シンプルに素材を楽しむのがポイントです。

煮物は、家庭的な味の野菜だけの煮物が出るケースもありますが、こだわりが強い旅館では、魚や肉を加えます。料理人のダシへのこだわりが楽しむポイントです。

鍋物と強肴(しいざかな)

鍋物や強肴(しいざかな)は、会席の基本にプラスアルファされるニュアンスです。

旅館では厨房から、食事場所(広間や部屋)への距離が離れている場合もあり、温かいもの提供するには、鍋物は不可欠です。

写真は和牛ですが、どちらかと言えば豚肉が多く、それでもびっくりするほどおいしい場合があり、豚肉には宿の工夫が出やすいと言えます。

強肴(しいざかな)とは、主な料理の後に、主人が酒が進む料理や自信作をダメ押し的に供するという意味です。

炊き合わせ(煮物の一種)やあえ物、おひたしといった小鉢の場合もあれば、天ぷらやステーキのような、メインに近い料理となることもあります。

昭和世代は天ぷら好きが多いため、老舗の旅館では天ぷらを出す傾向にあります。天ぷらを出す旅館は、歴史ある旅館と言ってもよいでしょう。

食事と水菓子

最後に食事として、ご飯、香の物(漬物)、止め椀(味噌汁)が出てきます。

止め椀の「止め」とは、会席の最後を意味します。ご飯は銘柄にこだわる人も多いのですが、水が良い地域では、味に対する水の影響も大きく、気にしてみると面白いかも知れません。

※旅館の料理は、お酒を伴う「会席」がベースのため、通常ご飯は最後ですが、食事の開始時に依頼すれば、早めに出してくれます。

水菓子はデザート。こだわりの強い中規模の旅館では、「手作りのもの、果物」がよく出てきますが、人手不足の折、わらび餅や既成品のシャーベットもよく起用されます。格安旅館の救世主は、コストが抑えられる杏仁豆腐です。

※料理については、各旅館で、呼び方や順番は様々です。この記事では、利用率が高く覚えやすい呼称を優先しつつ、強肴(しいざかな)のように興味深い呼称は起用しました。旅館によっては、御凌ぎ(おしのぎ)などバラエティーに富んだ呼称が採用され、その発見も旅の楽しみの1つです。

料理を楽しみながら確認したい場合、下の画像が便利です。

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また、もう少し詳しい裏話や、料理を紹介させて頂いた旅館(麒麟山温泉 絵かきの宿 福泉)については、下の記事で紹介しています。

旅館の食事の順番 先付けから水菓子まで「楽しみどころ」はここ(とらべるじゃーな!)

穴場ずらし旅、愛好家

宿泊歴500泊。関東周辺の穴場★ずらし旅スポットを紹介。日本テレビ(2023年)、TBSテレビ(2024年)に旅の専門家として登場。Yahoo!ニュースエキスパート公式旅行ライター(2023年7月企画賞)。JTB運営・地理旅行検定取得済み。東京都在住。

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