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平成サッカー負の遺産。川崎対湘南戦で見た日本の特殊性とは

杉山茂樹スポーツライター
(写真:松尾/アフロスポーツ)

昭和から平成へ。世界との距離は急速に接近した

 平成から令和に移ろうとしているいま、特別な感情がこみ上げているわけではないが「この30年間のサッカー」という視点に立てば、触れずにはいられない事例が多々ある。

 昭和の時代はいま振り返れば冬だった。冬であるとの認識すら持てない、閉ざされた世界の中に身を委ねていた。

 常に世界との関わりを余儀なくされているスポーツの世界では、元号を用いる機会はただでさえ少ないが、昭和から平成に入るとその傾向はさらに加速した。

 サッカーは特にそうだった。平成元年は1989年と言った方が、その背景ははるかに鮮明になる。

 西ドイツが優勝したイタリアW杯の1年前であり、オランダが優勝した欧州選手権(現ユーロ)西ドイツ大会の1年後だ。さらに個人的な取材歴を基に語れば、この1989年には、コパ・アメリカ(ブラジル大会)も開催されている。20万人近い観衆で埋め尽くされた旧マラカナスタジアムの光景は、いまだ記憶に新しい。

 当時、そこは遠い世界だった。実際の距離はいまも変わらないし、所要時間にも大きな変化がない。いま本場が近く感じられる原因は、情報を得やすくなったことと関係がある。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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