新卒採用の目標を絶対達成させる、「採用のパイプライン管理」
学生にとっての就職環境は、いまだ「売り手市場」です。2016年も大学生の就職率(就職者数÷就職希望者数)は過去最高のポイントだったようで、この流れは2017年も続くと言われています。
「売り手市場」の状態がこれだけ続くと、企業の採用担当者(特に有名大企業を除く)の苦難もまた同様に続くことでしょう。良い人財を採ることは、企業の価値向上に直結します。「人が大事」と言わない経営者は皆無ですから、狙った学生がなかなか入ってこない状態が続くと、競合他社との格差は広がり続けることでしょう。
ところが採用担当の目標達成意識は、総じて高くないと言えます。それに、採用目標を達成させるための手法などは、世の中に膨大にある「営業目標を達成させる方法論」と比べると、きわめて少ないのが現状です。
採用活動は営業活動とよく似ている部分が多いため、営業の目標達成に使うメソッドが多数使えます。今回ご紹介するのが「パイプライン管理」。「パイプラインマネジメント」とも呼ばれ、営業のプロセス管理でよく使われる言葉です。
「パイプライン管理」とは、そのプロセスをパイプライン(管路)にたとえ、入口から出口までを見える化し、分析する管理手法です。営業活動であれば、「初回訪問」から「受注」までの流れを。採用活動であれば「募集」から「入社」までの流れでしょう。
具体的にいえば、大学の就職課、就職フェア、合同説明会、就職サイト、新卒紹介……など、各種手法で「募集」をかけ、「エントリー」 → 「書類選考」 → 「グループ面接」 → 「適性検査」 → 「役員面接」 → 「内定」 → 「新人研修」 → 「入社」など。
会社ごとに取組みが違いますので、それぞれの採用プロセスを可視化し、数字で表現することで、管路のどこが細くなって、詰まっているのか、改善ポイントが判明します。たとえば、
「エントリー(300)」 → 「書類選考(125)」 → 「グループ面接(60)」 → 「適性検査(30)」 → 「役員面接(16)」 → 「内定(8)」 → 「新人研修(3)」 → 「入社(3)」
という結果になっているのであれば、「書類選考」をパスした学生がどうして「グループ面接」で半減するのか。「内定」を出した8人のうち、なぜ「新人研修」へ進んだ学生が3人しかいなかったのか。営業でいえば、お客様から内示を受けても、契約にいたるまでは絶対に気を緩めないこと。これは常識です。採用担当者にこのような意識はあったか、問われます。
広告にお金をかけ、あとは商談のやり方、クロージングのテクニックばかり考える営業は、全体を俯瞰できていない人です。採用活動も同じで、就職サイトや合同説明会といった「マス」のアプローチにばかり目を向け、あとは採用面接のテクニックばかり磨いても、問題点をあぶり出すことはできません。
採用の「パイプライン管理」を実施し、問題のプロセスを特定し、そのコンバージョン率をアップさせるだけで、コストをそれほどかけることなく、採用目標達成に近づくことでしょう。営業活動も、採用活動も似ています。何事も「点」で考えず、「線」で捉えることが重要ですね。