間も無くゴング! マイク・タイソン vs. YouTuber
テキサス州アスレティックコミッションは、58歳のマイク・タイソンにプロボクサー・ライセンスを発行した。19年以上も公式戦のリングに上がっておらず、5月に潰瘍が再発して、7月20日に組まれていたファイトが延期となったことを深刻に受け止めてはいないようだ。
「タイソンの身体に関して医療専門家を交えた会議を行い、数週間は最小限に体を動かす程度でコンディションを整え、その後、制限無しのトレーニングに戻ることが推奨された」なる発表がされたが、年齢からも健康状態には疑問符が付けられる。
タイソンのライバルだったイベンダー・ホリフィールドも、2021年9月11日に同じ58歳にしてリングに上がった。そして、44歳の元UFCファイター、ヴィトー・ベウフォートに1ラウンドKOで敗れている。この時、フロリダ州ボクシングコミッションのエグゼクティブ・ディレクター、パトリック・カニングハムは、「エキシビションではなく、プロボクシングの公式戦とする」という決定を下した。が、非常に危険な内容でのKO負けだったため、同コミッションは試合後30日間のサスペンションを発令した。
今後、ホリフィールドを公式戦で使おうというプロモーターは現れないだろう。それでもホリフィールドは試合を止めたレフェリーに対して抗議声明を出し、メディアをざわつかせた。
今回、タイソンは、少なくとも2000万ドルのファイトマネーを得ると報じられている。会場となるAT&Tスタディアムは、2010年2月にNBAオールスターゲームが行われ、108,713人ものファンを呼んだ。Netflixは今日まで、複数回の試合前ドキュメンタリーを放送し、イベントを盛り上げている。無論、今日のYouTuber戦も生中継する。タイソンは、やはり注目の的なのだ。
現役時代のタイソンは、躁鬱病に悩まされていた。少年院を出た10代の彼を親代わりとして支えたカス・ダマトは、カウンセラーを用意し、タイソンの心が乱れないように努めた。しかしダマトの死後、タイソンを「金のなる木」としか見ないドン・キングによってそんなサポートは一切なくなる。
よって、Iron(鉄の男)というニックネームが付けられ、マグネシウムと形容されたハードパンチは錆び付いてしまう。統一ヘビー級チャンピオンとなったタイソンの絶頂期は、思いのほか短かった。
タイソンは「俺は多くのことを達成したい。無名の長い人生よりも、短い栄光の人生で死ぬほうがマシだ」なる言葉を残している。今日の彼は、「58歳の挑戦」なのか。
ただ、練習風景や記者会見、Netflixのインタビュー映像などを見る限り、今のタイソンは楽しそうだ。ボクシングを愛する様が伝わってくる。
間も無く、タイソンは31歳年下の男とリングで向かい合う。いかなるファイトとなるか。