ひまわり8号が捉えた富士山の雪
雲が晴れた日本列島。北陸付近の雪、そして白い点のように見えるのは富士山頂の積雪(黄丸)だ。
ひまわり8号 雲がないときの楽しみ方
22日(金)、晴れ間が広がった日本列島。気象衛星ひまわり8号の雲画像をみると、日本海側に積もった雪がよくわかります。世界トップレベルの性能を誇るひまわり8号、どのくらい細かいものが見えるのでしょう。
気象衛星は赤道上空約35,800キロにあり、500メートルから2キロくらいのものが識別できます。雲がないときは宇宙から富士山頂に積もった雪がわかります。雲画像というと、低気圧や台風の雲ばかりに目が行きがちですが、雲がないときの楽しみもあります。
富士山頂の積雪は4月に多い
ひまわり8号の性能が素晴らしいといっても、富士山頂の雪は白い点のよう。
でも、目を凝らすと、雪は静岡県側に多くあるように見えます。どうしてなのでしょう?それは富士山に雪が降るときを考えると納得できます。
富士山に雪を降らせるのは太平洋側を通る低気圧です。低気圧が連れてくる雨は富士山頂では雪となって降り積もります。低気圧に近い静岡県側で降水量が多くなることが影響していると思います。
また、富士山頂の積雪を月別にみると、真冬に多いのではなく、4月に最も多くなっています。新録と真っ白な富士山の取り合わせが素晴らしいのはコントラストが最も際立つからでしょう。
一方、比較のために、富士山から約200キロ離れた新潟県津南町の積雪をみてみると、2月に最も多くなっています。つまり、津南町は冬の寒さによる雪雲で雪が降り、富士山頂は春の低気圧で雪が降ることがわかります。
ひとくちに雪といっても、降るときの気象条件は違います。富士山の雪と新潟の雪、ひまわり8号は雪の降り方がひとつではないことを教えてくれます。
【参考資料】
寺坂義幸,2016:第6章 ひまわり8号RGB合成画像の基礎,平成27年度予報技術研修テキスト,気象庁予報部,123-136.
富士山の月最深積雪は1965年-1990年の平年値を使用しました。