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運命を変えた公開採点!井上尚弥のいとこ井上浩樹が新チャンピオン!

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供全て FUKUDA NAOKI

日本スーパーライト級タイトルマッチが行われ、チャンピオンの細川バレンタイン(角海老宝石)と、同級1位の井上浩樹(大橋)が対戦した。

チャンピオンの細川は、外資系企業から社長として起業した異色のボクサー。対する井上は、世界王者の井上尚弥と井上拓真の従兄弟で、最強遺伝子を持つボクサーだ。

この試合は、全階級で行われるチャンピオンカーニバルで、一番の注目試合となり、会場の後楽園ホールは超満員となった。

身長差とサウスポースタイル

今回の試合で気になったのは、14cmの身長差だ。チャンピオン細川は163cmで、この階級では小柄な部類に入る。

一方井上は、177cmと長身で、加えて、左構えのサウスポースタイルだ。そのため、試合が始まってから、細川が前に出て、井上が距離を測る展開となった。

前半は、プレッシャーをかけて、どんどん前に出る細川と、ジャブをつきながら広い懐を活かして戦う井上で、互角の展開となった。的確なパンチを打つ井上に対して、細川は豪快にパンチを放ち会場を沸かした。

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両者の運命を変えた公開採点

 日本タイトル戦では、5回終了時に公開採点がある。この時点での、集計されたポイントが会場にアナウンスされる。採点では、48-47の三者一致で挑戦者の井上がポイントをリードした。

私の途中採点も同様だった。どっちつかずで際どいラウンドもあったが、井上がパンチの的確性で若干ながらポイントを引き寄せている印象だった。

公開採点がある事で、戦い方が変わってくる。セコンド陣のアドバイスのもと、選手は戦術を変えていく。

負けていたらポイントを取り返しに行く必要があり、勝っていたらそのままのスタイルを貫いて戦うケースが多い。

私も経験があるが、これを機に展開が変わるので、戦い方を修正していく必要がある。そのため選手の心理面にも大きく影響してくる。

井上が的確なパンチでペースを掴む

ここから展開が大きく変わり、差が開いていった。ポイントで勝っている井上は肩の力が抜け、余裕が生まれパンチも多彩になり、コンビネーションが光った。

長身から繰り出されるストレートに加え、フック、アッパーとパンチを左右にまとめていった。

一方、細川は、ポイントを取り返しにいくあまり、攻撃重視で防御が甘くなり、被弾が多くなった。

焦りからか攻撃も単調になり、井上のパンチをまともにもらう場面も多くなった。

前半は互角の展開だったが、後半は井上がペースを握り、3-0の判定(97-93、98-93、98-92)で井上が新チャンピオンとなった。

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最強一家としてのプレッシャー

今回の試合には、3階級制覇王者の井上尚弥、WBCバンタム級暫定王者の井上拓真も試合の応援に駆けつけていた。2人の助っ人は心強い反面、井上家の看板は、大きなプレッシャーとなっていただろう。

試合後の勝利者インタビューでは、「王者になりますとは言ってきたけれど、不安な部分はあった。日本王者になり、夢のようにうれしいです」と涙した。

また「尚弥と拓真が当たり前のように勝って、当たり前のように世界王者になった。重圧になった」とも話していた。

身近に世界チャンピオンがいると注目度も高まるが、その分プレッシャーや比べられる事も多いかもしれない。しかし、今回の試合で勝ちきった経験は大きい。

これで、井上一家は3選手全員無敗でタイトル獲得、未だに負けを知らない。驚くべき快挙だ。

世界タイトルと日本タイトルを比べるわけではないが、日本チャンピオンになるのも本当に難しい。タイトルマッチになると相手のプレッシャーや気迫も高まり、自身の背負うものも多くなってくる。

他の試合とは比べものにならないくらい、重圧がのしかかる。

試合内容はもちろん大事だが、タイトルマッチでは、結果が大きくその後のボクシング人生に左右する。

その意味もわかってくるだろう。類い稀なる才能を持っているので、ぜひ今後の活躍にも期待したい。

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元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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