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【速報】 在日香港人ウィリアム・リーさん 国連人権理事会で中国政府の「世界人権宣言」違反を訴え

堀潤ジャーナリスト
国連人権理事会でスピーチをするウィリアム・リーさん 国連人権理事会中継より

在日香港人のウィリアム・リーさんが、今夜、日本時間24日午後8時前、スイス・ジュネーブで開かれている国連人権理事会でスピーチを行った。

香港版国家安全維持法の撤回や、中国当局に拘束され行方が分からなくなっている香港人12人の引渡しを要求するよう人権理事会へ働きかけた。また、香港問題とあわせ、南モンゴルやウイグル、チベットで行われている非人道行為についても言及。世界の親民主主義国家への協力を呼びかけた。

英語での約90秒のスピーチを終えたウィリアムさん。筆者とのやり取り第一声は「もう、何を言って良いのかわかりません」と安堵の様子。

成田空港からスイスに向けて出発したのは今週日曜日の朝だった。当初、スピーチは現地時間の21日午後か、22日の午前が予定されていた。しかし、人権理事会では先週、ベラルーシで行われているルカシェンコ政権による市民への弾圧などに対し人権状況の監視を行い、年末までに報告を求める決議案を採択。ロシアや中国の代表が、議論の進め方に納得できないなどと述べ、議論が中断。そうした影響で、ウィリアムさんのスピーチの予定がずれ込んでいた。

スイス・ジュネーブにある国連人権理事会の議場 ウィリアムさんのスピーチが行われた直後の様子 写真:国連人権理事会HPより
スイス・ジュネーブにある国連人権理事会の議場 ウィリアムさんのスピーチが行われた直後の様子 写真:国連人権理事会HPより

現地にいるウィリアムさんからは、随時、更新される予定表が私のもとに届いていたが「無事に発表できますように」と不安げな様子も添えられていた。そうした中、今夜、実現したウィリアムさんのスピーチ。メッセージを受け取った国連人権理事会や国際社会が中国に対してどう対処するのかしっかりと見守りたい。

ウィリアムさんは出国前、「亡命が必要になるかもしれません」と覚悟を語っている。理事会で何を伝えたのか。ウィリアムさんが現地から送ってくれた今夜のスピーチ全文をみなさんにも共有したい。

出国直前の様子は、こちらの記事にまとめてあるのでぜひお読みいただきたい。

「中国政府は世界人権宣言に違反しています」 スイス・ジュネーブの国連人権理事会で在日香港人が訴えへ

そして、先ほど現地のウィリアムさんから日本のみなさんへと題したメッセージが届いたので追記する。

日本の皆様、いつも香港情勢に関心を寄せて頂いてありがとうございます。今回のスピーチも日本の皆様の応援があったこそできたと思います。SNSでの発信、メディアへの連絡、様々の助けをもらったからこそ私は国連で戦えました。

国連でのスピーチが重要ではなくてスピーチ終えた後が重要と思います。まずは中国大陸にまだ拘留されている12人の香港人を取り戻すことが大事です。絶対に助け出します。その為にも日本の皆様のご支援が必要となってきます。是非引き続き香港のことを、人権と自由のことを共に守りましょう!

Madam President,

I am a Hongkonger currently living in japan. After the establishment of National Security Law in Hong Kong, there is no more freedom of speech. Hundreds of pro-democracy people have been arrested due to the violation of the Law. They only speak out to seek for justice and to maintain democracy in Hong Kong but its’ve been seen as inciting subversion of state power. This is how China manipulates Hong Kong.

Last month, 12 Hongkongers including pro-democracy activist Mr. Andy Li became missing in mainland China. Also, Joshua Wong has been arrested today in Hong Kong.

Besides, Hong Kong is not the only victim under Chinese government’s oppression. In South Mongolia, schools started from September that using Mongolian for teaching have been abolished and forced to use only Chinese as teaching language. Against the Tibet and Uyghur as well.

The above actions have clearly violated the Universal declaration of human rights and Beijing declaration. Democracy-loving nations needed to be accountable to condemn and sanction the Chinese government.

We request this council to recommend the government of China as follows:

1. Withdraw the national security law of Hong Kong and stop any other inhumane treatments

2. Disclose the situation and transfer the 12 Hong Kong people back to Hong Kong

China is the permanent member of the United Nations Security Council as well as the member of human right council till 2019, exploiting its position to suppress the democracy and freedom of Hong Kong and others.

私は現在日本在住の香港人です。香港国家安全維持法が成立した以来、香港に言論の自由はもう成り立てません。百人以上の民主派が国家安全法違反容疑により逮捕されています。彼らはただ正義の為に、そして民主主義を守るため、声をあげただけで、国家転覆行為とみなされます。これは中国が香港を操る手段です。

先月、民主化活動家アンディ・リーを含む12人の香港人が中国大陸で行方不明になっています。

さらに、中国政府に圧迫されているのは香港だけではありません。南モンゴルでは、9月から、学校でモンゴル語の授業が廃止され、中国語の授業でしか出られなくなりました。チベットやウィグルに対してもそうです。

以上の行為は明らかに世界人権宣言及び北京宣言を違反しています。親民主主義の国々は中国政府へ譴責及び制裁をかける責任があります。

我々は人権理事会に下記のことを中国政府に提言をかけることを要請します。

1、直ちに香港国家安全法を撤回する及び他非人道的行為を取りやめる。

2、直ちに12人の香港人の情報を公開し、香港まで移送する

ジャーナリスト

NPO法人8bitNews代表理事/株式会社GARDEN代表。2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター、「Bizスポ」キャスター。2012年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員研究員。2013年、NHKを退局しNPO法人「8bitNews」代表に。2021年、株式会社「わたしをことばにする研究所」設立。現在、TOKYO MX「堀潤LIVE Junction」キャスター、ABEMA「AbemaPrime」コメンテーター。2019年4月より早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員。2020年3月映画「わたしは分断を許さない」公開。

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