今晩発走サセックスS、バスラットレオン騎乗の坂井瑠星騎手、海外での逸話
バスラットレオンとGⅠに挑戦
現地時間26日、イギリスのグッドウッド競馬場を坂井瑠星騎手が訪れた。
「聞いていた通り、起伏の激しい競馬場ですね」
27日にスタートが切られるサセックスS(GⅠ、芝1マイル)にバスラットレオン(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)が出走。その手綱を取るための今回の遠征だった。
前回の遠征は今月上旬。7月9日に行われたジュライC(GⅠ)でキングエルメス(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)に騎乗した。そのレース当日の朝、バスラットレオンの追い切りに跨り、ニューマーケットのアルバハトリコースを軽快に走破した。
「元々調教は動く馬ですが、相変わらず良い動きでした」
ジュライC後は帰国。今回のサセックスSに合わせて再渡英ということで、この中間はノータッチだが……。
「中間の動きは動画で確認しているし、1週前に乗ってもらったオイシン(マーフィー)君からも『良い仕上がり』と聞いているので、心配はしていません」
積極的に世界で経験を積む
デビュー7年目で現在25歳。しかし、この実年齢以上に、世界での経験値を持っている。デビューしてすぐに、師匠である矢作の後ろ盾もあってオーストラリアへ長期遠征。メルボルンやシドニーといったメトロポリタンだけでなく、騎乗機会を求めて遠くアデレードに滞在した事もあった。そんな成果もあり、16勝を挙げる事が出来た。更に、自身初となったGⅠ騎乗はかの地のコーフィールドC。海の向こうで、人とは少し違う経験を積んだ。
19年にはこんな事があった。当時、シュヴァルグラン(17年のジャパンCの覇者)が英国競馬に挑戦。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(GⅠ、6着)とインターナショナルS(GⅠ、8着)に出走した際、坂井も同馬が滞在していたニューマーケットに入った。怪我をしての休養期間だったのだが、乗れない時間も無駄にしないように見聞を広めにいったのだ。
ちなみにこの時、私はリングフィールド競馬場とサンダウン競馬場を1日のうちにハシゴしながら取材するという予定が入っていたのだが、坂井は「邪魔にならなければついていって良いですか?」と言い、実際に一緒に両競馬場をまわる事になった。そして、そうまでして行った理由を次のように語った。
「いつか乗れるチャンスが来るかもしれないですし、少しでも見ておきたいです」
先述したキングエルメスによるジュライCは、坂井自身初のニューマーケット競馬場での騎乗ではあったが、ニューマーケット自体には19年に来ていたため、右も左も分からないという状態ではなかった。今回のサセックスSも、自身初のグッドウッド競馬場となるが、前日に話した限りでは、物怖じしている様子はない。
「レース当日には馬場を歩いて確認させてもらうつもりです。相手には世界最強馬(バーイード)もいますけど、頭数も少ないのでバスラットレオンの競馬に徹して何とか一発を狙いたいです!!」
ドバイで結果を出したタッグで臨むサセックスSは日本時間本日27日23時35分に発走予定。どういう結果になるか、現時点では神のみぞ知るだが、どういう結果になっても、ただ1つだけ言える事がある。坂井瑠星がまた1つ、未来の礎となる経験を積む。これだけは間違いないと信じ、今晩のレースに声援を送ろう。
(文中敬称略、写真撮影=平松さとし)