「ローグ・ワン」エドワーズ監督:「ジョージ・ルーカスにもらった言葉は墓まで持っていく」
この週末、L.A.で行われた世界プレミアで、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」の反響は、とても良かった。今作で初めて「スター・ウォーズ」映画を手がけたギャレス・エドワーズ監督は、人々の反応に満足していることだろうが、その少し前に、彼は、最も大きな不安を克服している。
プレミアの1週間前にサンフランシスコのルーカス・フィルムで行われた記者会見で、エドワーズは、その2日前にジョージ・ルーカスから電話をもらったと告白した。それは、エドワーズが記者たちからのインタビューを次々に受けている途中だったという。スタッフに、「ちょっと休憩を取りましょう」と言われたエドワーズが、「いや、必要ない」と答えると、「いえ、休憩にしてください」と彼を部屋の外に連れ出したのだそうだ。どうしたのかと聞くと、「ジョージ・ルーカスが、あなたと話をしたがっているんです」と言われる。
具体的にルーカスが何と言ったのかは明かしてくれなかったものの、エドワーズは、「僕は、今、もう幸せに死ねるよ。彼はこの映画をとても気に入ってくれたんだ」と、うれしそうに語った。さらに、「彼は僕にとって一番重要な批評家だから。もちろん、君たちだって大事だよ。でも、わかるだろう?彼は『スター・ウォーズ』の神様なんだよ。あの言葉は墓まで持っていく」と付け足している。
この時にエドワーズが語ってくれた製作の裏話のいくつかを、ここで紹介したいと思う。この会見の前に、筆者を含め、参加した記者たちは30分の映像を見せてもらったが、映画全部は見せてもらっておらず、質疑応答も、その状態でなされたものである。
この映画では、帝国軍と反乱軍の戦いが、もっと激しく描写されているような気がします。
製作の初めの頃から、僕らは(ルーカス・フィルムのトップ)キャスリーン・ケネディに、「この映画は、シリーズ本編と違うものにしないといけない」と言われていた。僕らはいろいろな方向から考えてみて、ある時、本物の戦争の写真を使ってみたんだよ。第二次大戦、ベトナム戦争、湾岸戦争なんかの写真を持ってきて、コンピュータを使い、それらの戦士に反乱軍のヘルメットをかぶせ、反乱軍の銃を持たせてみたんだ。戦車の代わりにXウィングを置いたりしてね。そのビジュアルは、僕らの心を強烈に惹きつけるものだった。スタジオに見せたところ、「いいね。この方向で映画を作ってくれ」と言われ、そこからすべてを始めていったのさ。
違うものにしつつも、やはり「スター・ウォーズ」ユニバースの中の作品であると感じさせる映画にするのは、難しかったのではないですか?
今作は、シリーズの中で独立した存在。それはつまり、この後、さらに映画を続けていけるよう考慮しなくてもいいということ。だからリスクを負うことが許される。僕は、「スター・ウォーズ」映画において、最も現実的なバージョンを作ろうとした。そのためには多くのテクニックを使っているよ。雰囲気としては、エピソード5「帝国の逆襲」を意識したね。今作は、シリアスでありつつも、楽しさとユーモアがある。希望という要素は、とても大事だった。
撮影で一番大変だったことは?
その質問はよく聞かれるんだが、たぶん、オープニングシーンだね。あのシーンはアイスランドで撮影している。本当に、ものすごく寒かった上、霧の問題があった。撮る準備をしていたら、突然白い霧が現れて、3メートル先が見えなくなってしまうんだ。それで、待つしかないかと思っていると、突然にして消える。ところで、後になって気づいたんだけど、エピソード4でダース・ベイダーが初めて登場する時、彼は黒いケープを被った黒い男で、白いストームトルーパーに囲まれていたよね。今作のオープニングシーンでは、白いケープを着た男が、黒いストームトルーパーに囲まれている。そんなふうに、見覚えのあるものをちょっとひねってみようという無意識の思いが、僕の中にあったんだと思うよ。
ダース・ベイダーのカメオ出演があるのも話題です。あの恐ろしいキャラクターを前にした気持ちを語っていただけますか?
あれらのシーンのリハーサルは、衣装なしでやったんだ。あのヘルメットが出てくると、怖すぎるからさ。ダース・ベイダーを監督することなんて、できないよ(笑)。現場のあちこちで物音がしていたのに急に静かになったと思ったら、ダース・ベイダーのご登場だった、なんてこともあった。彼がやってくると、クルーはみんな5歳の子供みたいになるんだ。彼を間近で見られるのは、最高に楽しいことのひとつだった。彼が出てくるシーンの撮影日には、みんなが現場にやってきたよ。
「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」は16日(金)全国公開。