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主な新興国/米国経済ニュース(8日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

台湾のキャセイ生命保険、インドネシアのマヤパダ銀行の株式40%取得へ

台湾保険大手キャセイ生命保険はインドネシアの中堅銀行マヤパダインターナショナル銀行(マヤパダ銀行)の株式40%を取得することで合意した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が5日に伝えた。

これは同保険会社の親会社であるキャセイ・ファイナンシャル・ホールディングが5日に台湾の証券当局に提出した報告書で明らかにしたもので、同行の普通株13億9000万株を1株当たり2528ルピア(約24円)、総額3兆5200億ルピア(約330億円)で買収する。これを受けて、同行の株価は5日、0.76%高で引けた。

キャセイでは、インドネシアの経済成長で同行の業績が向上する可能性があり、安定したリターンが期待できるほか、傘下のキャセイ・ユナイテッド銀行を含めた子会社と貿易金融や為替、リテール(消費者向け小口金融)、資産運用などの面で協力関係を一段と強化することが可能になるとしている。

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米ベライゾン、オンライン動画配信強化でAOLの買収か合弁会社を模索か

米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>は、スマートフォンなど携帯電話向け動画配信サービスを拡大するため、米インターネットサービス大手AOL<AOL>を買収するか、または、AOLと合弁会社を設立する方向で検討しているもようだ。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)などが関係筋の話として6日に伝えた。

ベライゾンはまだ正式にAOLに対し、具体的な協議の開始の意向は伝えておらず、AOLと何らかの合意に至るまでには時間がかかる見込みだ。ベライゾンはAOLのオンライン動画コンテンツや携帯電話向け動画配信、オンライン動画広告に関する専門技術の獲得を目指しているという。もともと、米経済通信社ブルームバーグが第一報を伝えたが、このニュースを受けて、AOLの株価は6日の取引開始直後に、一時12%も急騰した。

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米アップル、アンロック版アイフォン「6」と「6プラス」の販売を開始

米IT大手アップル<AAPL>はこのほど、SIMロック解除(ファクトリーアンロック)のスマートフォン「アイフォン6」と「アイフォン6プラス」の販売を開始した。このアンロック版のアイフォンを購入すれば、自由に通信会社を選択し、また、外国の旅行先でもローミングなしに使用することが可能になる。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが6日に伝えた。

アンロック版アイフォン6の販売価格は650ドル(約7万7000円)から始まり、通信会社も米ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>や米AT&T<T>、独通信大手ドイツ・テレコムの携帯電話部門Tモバイル傘下のTモバイルUS<TMUS>、ソフトバンク傘下の米スプリント・コーポレーション<S>のいずれかを選択できる。これらのアイフォンはSIMカードなしで販売され、自由に選択した通信会社からSIMカードを受け取る。

現在、アイフォンは通信会社が顧客と2年の通信サービス契約を結ぶことを条件に450ドル(約5万4000円)を負担し、実質、200ドル(約2万4000円)に値下げされているが、通信会社はこうした負担に難色を示しているのが実情だ。これまでアップルは「アイフォ5S」と「アイフォン5」のアンロック版をロック版の発売2カ月後に販売しているが、今回のアイフォン6とアイフォン6プラスについては昨年9月の発売後4カ月遅れでの販売開始となった。

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ベトナム12月HSBC製造業PMI、52.7と前月を上回る

ベトナムの英金融大手HSBCのベトナム法人であるHSBCベトナムが5日に発表した同国の2014年12月製造業PMI(購買担当者景気指数)は52.7と、11月の52.1を上回り、昨年4月以来8カ月ぶりの高水準となった。

同指数は世界30カ国のPMI指数を発表している金融情報サービス大手のマークイットの協力を得て作成されており、同指数が50を超えると景況感が「拡大」、反対に、50を下回ると「縮小」の判断となる。ベトナムの製造業PMI指数は16カ月連続で50を超えた。

また、今回の12月の結果はサブ指数の新規受注指数とアウトプット指数(生産・産出指数)の拡大で、ベトナムの製造業が堅調に推移していることを示している。HSBCのエコノミスト、チン・グエン氏は、「ベトナムの工業製品に対する需要は国内外で高まっている」と指摘している。

また、12月のインプット価格(投入指数で支払価格)指数は世界的な原油価格の低下で引き続き低下し、2012年7月以来2年5カ月ぶりの低水準となったため、メーカーでは12月のアウトプット価格(生産者物価・産出指数で受取価格)も引き下げざるを得なくなっている。

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ルーマニア中銀、主要政策金利を0.25%引き下げ2.5%へ

ルーマニア国立銀行(中銀)は7日の金融政策決定会合で、景気を支えるため、主要政策金利である1週間物レポ金利を市場の予想通り0.25%ポイント引き下げて2.5%とすることを決めた。利下げは昨年8月の会合から4会合連続で過去最低水準となる。利下げは8日から実施される。

また、市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利を0.5%ポイント引き下げて4.75%とした。一方、資金吸収のための預金金利は0.25%のまま据え置いたほか、金融システム内の流動性を適切に管理するため、市中銀行が中銀に預ける自国通貨建ての預金準備率も10%、外国通貨建ての預金準備率も14%のままそれぞれ据え置いた。

今回の会合では、中銀は政策金利を中心に上限の貸出金利と下限の預金金利を決めているが、この上下のレンジを従来の2.5%ポイントから2.25%ポイントへ縮めた。それによって、下限の預金金利がゼロ%になるのを回避した。

中銀は、政策決定会合後に発表した声明文で、「インフレ率は予想以上に低下している。これはマイナスのアウトプット・ギャップ(デフレギャップ)が続いていることや、ユーロ圏全体のインフレ率も鎮静化していること、インフレ期待も低下していることによる。昨年11月のインフレ率は1.26%上昇と、前月の1.44%上昇から伸びが鈍化した」と指摘し、利下げの環境が整ったとしている。

一方、中銀は景気の現状について、「内需は消費と投資に支えられて回復しており、GDP(国内総生産)は一段と強くなった」としたが、「外部環境は、(ウクライナなどの)地域紛争で緊張が再び高まり、世界の主要国の中銀による金融政策の変更もあってより不安定の度合いを増している。適切なマクロ経済のポリシーミックス(複数の経済政策手段の一体運営)によって、経済を強め、外部ショックに耐えられる抵抗力を高めることが重要だ」としている。

また、中銀は前回と同様に、「中期的に物価を安定させ、また、金融市場を安定させるため、国内外の経済動向を注視しながら、中銀が取りうる手段を適切に用いていく」と述べている。

次回の金融政策決定会合は2月4日に開かれる予定。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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