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7年ぶりのワールドシリーズ先発登板は、雨とともに流れたのか。順延の試合は別の投手がマウンドへ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノア・シンダーガード(フィラデルフィア・フィリーズ)Oct 22, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月31日に予定されていたワールドシリーズ第3戦は、雨により、翌日に順延された。第3戦以降のシリーズ全体が、第5戦と第6戦の間の移動日も含め、1日ずつ後ろへずれた。

 第3戦は、ランス・マッカラーズJr.(ヒューストン・アストロズ)とノア・シンダーガード(フィラデルフィア・フィリーズ)が投げ合うはずだった。アストロズの先発投手は、11月1日に行われる第3戦も変わらない。マッカラーズJr.が投げる。一方、フィリーズの先発投手は、シンダーガードではない。レンジャー・スアレスが登板する。

 両チームの先発投手は、以下のようになるはずだ。上がアストロズ、下はフィリーズ。それぞれの左が順延前、右は順延後だ。2人が表記してある試合は、先発投手が2人のどちらかだと予想している。

筆者作成
筆者作成

 アストロズは、ジャスティン・バーランダーフランバー・バルデス、マッカラーズJr.、クリスチャン・ハビアの4人によるローテーションを、順序もそのまま維持する。順延前も順延後も、第何戦にどの投手が投げるかは同じだ。

 一方、フィリーズは、ここからの2試合とも、順延がなければ、その日に投げる予定だった2人が登板する。11月1日がスアレス、2日はアーロン・ノラだ。順延前の順序からすると、シンダーガードをスキップしたように見える。これは、ノラ、ザック・ウィーラー、スアレスの3人をローテーションに据え、彼らが登板できない日は、シンダーガードかカイル・ギブソンを起用する方針だと思われる。

 両チームを比較すると、台所事情はフィリーズのほうが厳しい。

 シンダーガードは、メジャーリーグ1年目の2015年に、ワールドシリーズで1試合に登板している。第3戦の先発マウンドに上がり、6イニングを投げて3失点(下の写真)。ニューヨーク・メッツにとっては、シリーズ唯一となる――現時点ではワールドシリーズ最後の――白星を挙げた。だが、現在のシンダーガードは、当時のようなハードボーラーではない。スタットキャストによると、7年前(レギュラーシーズン)の4シームとシンカーは、どちらも平均97.7マイル。今シーズンの平均は、94.1マイルと93.6マイルだ。

Oct 30, 2015
Oct 30, 2015写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 順延前の第3戦にシンダーガードが予定されていたのは、スアレスが第1戦にリリーフとして投げたからだろう。スアレスのこの登板も、フィリーズの状況を窺わせる。

 シンダーガードは、第5戦の登板が有力だ。順延により、ウィーラーが中4日で第5戦に投げられることになったが、こちらは、疲労もしくは何らかの故障が懸念されている。第2戦の球速は、通常よりも遅かった。

 ただ、シンダーガードの先発登板には、第3戦と第4戦にリリーフとして投げなければ、という条件がつく。ここまでの3登板は、ディビジョン・シリーズ第2戦がリリーフ、第4戦が先発、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第4戦はリリーフだ。また、フィリーズが1勝3敗で第5戦を迎える場合は、身体に問題がなければ、ウィーラーの登板もありそうな気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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