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エンジェルスはドラフトで指名したばかりの選手をメジャーデビューさせる!? 昨年もこのパターンはあり

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロブ・マンフレッド(左)とクリスチャン・ムーア Jul 14, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月2日、ロサンゼルス・エンジェルスは、二塁手のクリスチャン・ムーアを、Aのインランドエンパイア66ersからAAのロケットシティ・トラッシュパンダズへ昇格させた。

 ムーアは、プロ入りから、まだ1ヵ月経っていない。7月のドラフトで、全体8位指名を受けた。プロ1試合目の7月31日と2試合目の8月1日に、どちらも「2番・二塁」として出場し、それぞれ6打席に立ち、5打数2安打(二塁打1本)と6打数4安打(二塁打1本とホームラン1本)を記録し、3打点ずつを挙げた。

 この早期昇格は、昨年のドラフトでエンジェルスが全体11位に指名した、一塁手のノーラン・シャヌエルと似ている。シャヌエルは、ルーキークラスで3試合(7月21日~24日)、Aで2試合(7月26日~27日)、AAで17試合(7月29日~8月17日)に出場後、AAAでプレーすることなく、8月18日にメジャーデビューした。

 各クラスで記録したスタッツは、ルーキークラスの12打席が打率.250(8打数2安打)と出塁率.500、Aの9打席が打率.833(6打数5安打)と出塁率.778、AAの76打席は打率.333(60打数20安打)と出塁率.474。ホームランは、AAで1本打った。

 メジャーリーグでは、29試合に出場し、132打席で打率.275(109打数30安打)と出塁率.402、1本塁打。今シーズンは、エンジェルスの開幕ロースターに入り、101試合の417打席で打率.254(355打数90安打)と出塁率.346、11本塁打を記録している。

 Aで2試合に出場しただけでAAへ昇格は、シャヌエルもムーアも同じだ。ムーアの場合、エンジェルスがシャヌエルの例を踏まえ、その前のルーキークラスを省いた、という見方もできる。ここからのプレー次第だろうが、ムーアも、プロ1年目にメジャーデビューするかもしれない。

 今シーズン、エンジェルスで二塁を守った7人中、ブランドン・ドゥルーリールイス・レンヒーフォルイス・ギヨーメイマイケル・ステファニックの4人は、現時点のアクティブ・ロースターに名を連ねている。

 ただ、レンヒーフォは出塁率.349とOPS.769を記録しているが、あとの3人は、出塁率.320未満とOPS.640未満だ。ドゥルーリーに至っては、出塁率.234とOPS.431に過ぎない。ホームランも、4人合わせて7本しかなく、そのうちの6本はレンヒーフォが打っている。

 レンヒーフォは、先月末の試合で、スウィングの際に右手首を痛めた。その8日前に、同じ箇所の怪我から復帰したばかりだ。また、遊撃にはザック・ネトがいるが、三塁手のアンソニー・レンドーンは、先月下旬に腰を痛め、故障者リストに入っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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