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「つまり・すなわち・要するに」の違いは?接続詞を使い分けして文章力・会話力UPしよう!

高橋亜理香日本語教師/日本語・日本酒ライター

いつもお読みくださってありがとうございます!日本語教師の髙橋亜理香です。

外国人留学生が作文や論文を書くときに、使い方に悩んでいることが多いのが接続詞。単独の文が作れても、その文と文を繋ぐ際に、複数の文の関連性を的確に理解し、必要なら適切な役割の接続詞を当てはめていく…という作業は、ネイティブでも難しいものです。

日本語の接続詞は、例えば順接の接続詞だけを挙げてみても「だから・それで・そのため・したがって・よって…」など多種多様。一見似ているものでも置き換えが可能だったり不可能だったり複雑です。

今日はその中でも、最近学生に質問された接続詞「つまり・すなわち・要するに」の比較について注目。外国人でなくても、この違い意外とよく考えてみたことのない人が多いのでは?違いや使い分け方を知って、会話力・文章力を上げてみましょう!

言い換えの接続詞「つまり・すなわち・要するに」

まず「つまり・すなわち・要するに」3つの接続詞の共通点は何でしょうか。

「Aつまり/すなわち/要するにB」の形で「Aを言い換えたのがB」という意味になります。

それだけ聞くと「じゃあ同じじゃん!」と言いたくなると思います。でも、語の持つ硬さや客観性、またそもそも言い換えた先がどんなものなのかという点に違いがあります。そこで、ひとつずつそれぞれの役割を見てみましょう。

1.つまり

「つまり」は一番広く使え、柔らかい場面にも硬い場面にもあまり違和感のない接続詞です。

前の文(言葉)Aを、知らない人にもっとわかりやすい言葉で言い換えたり、もっと短い言葉で言い換えたりすることができます。この場合「A=B」という関係になります。

また、それだけではなく、Aから導かれる結論や主旨、Aで表現したかった本質や真意を述べることもできます。「結局言いたかったことってBなんだよね」という感覚です。

複数の使い方ができるので、汎用性の高い接続詞と言えるでしょう。

2.すなわち

「すなわち」は「つまり」と比較すると硬い接続詞です。こちらは、Aを知らない人にもっとわかりやすく、または簡潔に伝えるために言い換えする役割を持っています。「A=B」の関係と言える、「つまり」のひとつ目の用法と同じものですね。また硬い文型であるゆえ、客観性も感じさせます。

3.要するに

「要するに」はAで述べたことをBで要約する役割があります。Aがわかりにくかったり、冗長だったりしたとしても、Bが要点となるので相手に「核心・まとめはこれだ!」と伝えられます。

ただし、「自分が取捨選択・要約し、まとめた」という主観的なニュアンスの強い接続詞でもあります。

「つまり・すなわち・要するに」の使い分けと例文

3つの接続詞は、それぞれ部分的には同様の役割を持っています。

「つまり」はざっくり言ってしまえば「すなわち」と「要するに」両方の機能を持っているので、最も使いやすいものであると言えます。

「A=B」としたい場合は、硬さの面で考えて「つまり」「すなわち」を使い分けるのがいいでしょう。

Bで主旨を述べたい場合は、客観性で考えて「つまり」「要するに」のどちらが適切か考えてみるとよいと思います。

では、クイズ。例文を見て、どの接続詞が適切か考えてみましょう。

例)
1.あの人は母の兄、(つまり/すなわち/要するに)私の伯父です。

2.彼は芸術科目、(つまり/すなわち/要するに)美術や音楽が得意だ。

3.徳川将軍の時代に、江戸(つまり/すなわち/要するに)現在の東京が日本の中心となった。

4.数年おきに同じ本を読み返すと、毎回感想が変わる。(つまり/すなわち/要するに)人間は年齢とともに、考え方や心が変化していくのだ。

5.明日は残業もあるし、終わったら接待にも合流しないといけないし…(つまり/すなわち/要するに)夕飯は要らないよ。

答えは

1.○つまり/すなわち

2.○つまり/すなわち

3.○つまり/すなわち

4.○つまり △要するに

5.○要するに/つまり(主観的なので「要するに」がより適切)

例文で考えると少しわかりやすくなりますよね。

そして、使用上の注意点。

「要するに」は主観の成分多めなので、論文やレポートなど客観性の求められるものには使わないこと。

また会話のときに、相手の話の途中で「つまり?」「要するに?」を使用すると、結論を急がせてしまいます。「要領得ないなー」とイライラしているニュアンスにもなってしまうので失礼です。ビジネスシーンでは相手に使用しないように注意してください。

“つまり”、使い分けられると知的に見える!

今日は接続詞「つまり・すなわち・要するに」についてでした。これからは、ぜひ意識して使ってみてください!

多くの語彙を使い分けできると、表現力が広がります。「知的で美人な」日本語を目指しましょう!

日本語教師/日本語・日本酒ライター

都内日本語学校の専任講師を経て、現在はフリーランスの日本語教師として留学生の日本語・進学指導やオンラインレッスンをしています。外国人の日本語学習を通して日本人の気づかない日本語を探究中。兼業で日本酒ライター・テイスターとして、父の故郷の秋田県をはじめとした日本酒の良さを伝えるお仕事もしています。保有資格:日本語教育能力検定試験、J.S.A.SAKE DIPLOMA、SSI日本酒学講師、SSI利酒師

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