デンマーク選挙、中道左派へと政権交代か 気候変動、移民・難民が争点
5日に総選挙が迫るデンマーク。
世論調査ではラムスセン首相率いる中道右派・自由党の陣営から、社会民主党率いる中道左派陣営へと政権交代となる見通しが強い。
3日、首都コペンハーゲンにある国際プレス連盟の事務所では、社会民主党の記者会見が開催された。
同党の政務スポークスパーソンであるニコライ・ヴァッメン氏は、2011~2015年にかけて防衛大臣、欧州連合大臣を務めた。
各国からの記者から殺到した質問は、気候変動、移民・難民、政権交代となった場合の連立する可能性のある政党についてが主だった。
北欧各国の政策を比較すると、これまでのデンマークは他国よりも先に移民・難民の受け入れ態勢を強化。同時に、「緑の党」の影響なしに急進的なグリーン政策を進めてきた国でもある。
野党・社会民主党は、選挙に向けて移民・難民政策をより厳格化。政策だけではなく、市民にもわかりやすく伝わるように、厳しい言葉でストレートに話しかける。
厳格な受け入れ態勢を求める市民の支持は、極右や中道右派の政党から、社会民主党や新しくできた極右政党らに流れて分散している。
「デンマークの移民政策と福祉制度にも限界がある。国家に重圧をもたらす者にドアを開けたくはない」と話すヴァッメン氏。どれほどの人が国に移動してくるか、数を調整する責任者が必要だと語る。
デンマークの全体的な厳しめの移民・難民政策や言説は、私が住むノルウェーでもニュースとなることがある。
デンマークでは受け入れの条件が厳しすぎるという声も。
スキルのある外国人労働者を企業が雇いたくても、現実は難しい。医者や看護師などの不足という懸念があるのであれば、ある程度柔軟になってもよいのではという指摘は、選挙の話題のひとつでもあり、記者会見でも質問が飛んだ。
気候変動問題においては、「今何らかの対策ができる最後の世代が我々」として、現政権はアクションが足りないとヴァッメン氏は批判する。
「デンマークはグリーン国家としての世界的ポジションをもっと高めるべきだ」と述べた。
社会民主党は政権を樹立する場合は、少数単独政権の可能性を示唆している。
両派の政党と政策ごとに協議をする形が、「社会民主党の政策を維持しながら、デンマーク全体の関心を守るベストな方法だ」とヴァッメン氏は説明した。
Photo&Text: Asaki Abumi