Yahoo!ニュース

「渡邊はいずれ“凄い選手”になれる」 マイク・ロネガン(ジョージ・ワシントン大HC)インタヴュー

杉浦大介スポーツライター

Photo By GW Athletics

ジョージ・ワシントン大は最初の10戦を終えて9勝1敗。

12月14日発表のNCAA D1ランキングでは、APで21位、USA Todayで22位

渡邊雄太の今季成績 

10試合すべてに先発し、平均26.2分出場、9.6得点(FG45.7%、FT65.5%、3PT31.7%)、4.1リバウンド、1.8アシスト、0.8ブロック、0.7スティール、0.7ターンオーバー

昨季は35試合(先発10戦)で平均22.5分出場し、7.4得点(FG38.4%、FT83.1%、3PT34.8%)、3.5リバウンド、0.6アシスト、0.6ブロック、0.4スティール、0.7ターンオーバー

ーーロネガン・コーチは今季の渡邊雄太のプレーをどう見ていますか?

ML:よくやってくれているよ。今日(12日のラトガーズ大戦)はアシストはなかったけど、今季を通じて通算18アシストで、ターンオーバーは7だけ。よりオールラウンドな選手になっている。身体を見てもらえれば分かる通り、ウェイトトレーニングの成果が出ている。身体ができてきたおかげで、ボールさばきも良くなったし、リバウンドも向上した。

ーーフィジカルはディフェンス面にも好影響を及ぼしている感じがしますね。

ML:彼の運動量も気に入っているし、ブロックやスティールも決めてくれている。1−3−1のディフェンスでも貴重な存在になっている。私たちは彼とパトリシオ(・ガリーノ/4年生の先発SF)がファウルトラブルに陥らない時の方が遥かに良いチームになるから、ファウルの数が増えないように気を配らなければならない。

ーー渡邊選手本人も守備面には自信を深めているように感じます。

ML:ディフェンス面での貢献は実際にチーム内でトップクラスだよ。今年はファウルの笛がタイトに吹かれていて、ファウルトラブルに陥ったゲームでは2戦ほどディフェンス面で厳しいゲームはあった。しかし、それ以外ではファウルをコールされてもフラストレーションをためず、プレーし続けてくれている。パトリシオが卒業する来季は、チームのベストディフェンダーとして確立して欲しいと期待しているんだ。

ーー得意のはずのシュートは、スリーとフリースローの成功率がもう一つ?

ML:武器である3点シュートの成功率は上がってくるはずだ。今日(ラトガーズ大戦)はフリースローを決めてくれたのも良かったね。チーム全体ではフリースローの成功率が良いのに、彼に関しては昨季ほどではない。ただ、シーズンが終わる頃には80%くらいの確率で決めるようになっているだろう。

ーー数字の伸びはそれほどではなくとも、成長していることは間違いないでしょうか。

ML:去年は“良い選手”だったのが、今では“とても良い選手”にまで成長してくれた。いずれ“凄いプレーヤー”にだってなれるだろう。去年は周囲の人たちは彼をジャンプシューターとして認識していたけど、私はスキルもあるとわかっていた。ただ、スキルを生かすだけのフィジカルの強さがなかった。今では自信を持ってボールをゴール近くにまで持ち込めるようになって、プレー全体に好影響を及ぼしている。

画像

ーーターンオーバーの少なさは確かに特筆できますね。 

ML:彼の身長は6-8だけど、今季はSGをプレーすることが多くなっている。6-3くらいの選手にガードされることが多いから、ドリブルをなるべく低くするように指導している。それができるようになって、より良いパサーにもなった。

ーー先ほど「いずれ“凄いプレーヤー”になれる」という言葉がありましたが、次のレベルに到達するために加えて欲しいものは?

ML:身体をさらに強くすること、よりタフになること。まだボックスアウトが物足りないときがある。NBAを目標にするなら、最高レベルでは誰もが身長に恵まれ、ジャンプ力もある。そんな選手たちと渡り合っていこうと思えば、フィジカルで負けてはならない。昨季よりかなり良くなったけど、まだまだ向上できる。先は長いが、良いペースでレベルアップしている。何より素晴らしいのは、さらに成長するための時間があと2年半残っていることだ。

ーーNBAの話が出ましたが、開幕した頃のラジオでのインタヴューで、コーチは「何人かのNBAスカウトが観に来ている」という話をしていましたね。

ML:スカウトは一昨年、去年も私たちを観に来ていたんだけどね。一昨年は15人、去年も10〜12人くらい来ていたかな。今年はパトリシオ、ケビン(・ラーセン/4年生の先発ビッグマン)にも注目していたようだ。

ーーそれでは渡邊選手だけを注目していたわけではないんですね。

ML:そういうわけではない。パトリシオの守備面の能力も注目され、今季はスリーポイントシュートの精度に磨きがかかっていることでも好印象のようだ。パトリシオは国際舞台でも経験を積んでいるしね。主にユウタとパトリシオの2人がチェックされている。パトリシオは今年が最後のシーズンだけど、ユウタはあと2年残っている。パトリシオがNBA入りするベストケースシナリオは、トライアウトに合格することかな。一方、ユウタは願わくば今後さらに成長して、ドラフトされるレベルまで到達して欲しい。努力家の彼なら望みはあると感じているけど、ただ、それを考えるのはまだまだ先の話だ。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

杉浦大介の最近の記事