歴史ある和菓子が可愛いお団子に!人形町で愛される彦九郎さんの「州浜だんご」きなこが香ばしい懐かしの味
初めましての出会いでも、なぜか「懐かしい」と感じてしまうことがしばしばあります。勿論懐かしさというのは過去の経験からきているものなのですが、いつ?どこで?と思い起こしてもはっきりしないことも。
東京都中央区日本橋。石を投げると老舗に当たるといわれるほど歴史を今日に至るまで繋げてきたお店で溢れる街ですが、そのルーツは必ずしも人形町というわけでありません。
甘酒横丁という下町のアットホームな雰囲気漂う通りの一角に佇む「京菓子司 彦九郎」さん。京都でお店を営んでいた現在のご主人のおじい様が昭和26年に東京へ移転なさり、今は四季折々の和菓子の他甘酒や夏にはかき氷も販売する地域の人たちがふらりと立ち寄るような和菓子屋さんとなっています。
今回は彦九郎さんの「州浜だんご」をご紹介。
州浜、と申しますのはお茶席でも供される半生菓子。鎌倉時代に京都の和菓子屋さんで作られたことが発祥といわれています。後に京都の別な和菓子屋さんが、型に嵌めて切ったときの断面が日本古来の家紋でもある州浜紋に似ているということから、「州浜」という名称を冠したという説が有力です。
材料は州浜粉(きなこ)・お砂糖・水飴をあわせたものというシンプルな構成。春は旬のソラマメやわらびなどの形も見受けられますね。
彦九郎さんの州浜は、ちょっと渋い色味が特徴的な三色団子のようなスタイル。ひとつぶ一口では物足りないと思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。じゃりっというお砂糖の食感を耳と舌で確かめながら、むちっとした弾力ときなこの香ばしさも平行作業にてチェック。噛みしめていくたびに素朴なきなこの旨味がじわじわと口に広がり、飲み込むと自然と肩の力がストンと抜けていく安心感。駄菓子のきなこ棒を食べた記憶が呼び起こされます。
「なんだか懐かしい味。」と、ランドセルをしょったばかりの娘が言うのです。もしかしたら、日本人に受け継がれる遺伝子の中に、州浜はなくとも「きなこ」は深いところで脈々と受け継がれていっている味わいなのかもしれませんね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<京都菓子司 彦九郎>
公式サイト(外部リンク)
東京都中央区日本橋人形町2-11-3
03-3660-5533
平日 10時~20時
土日祝日 10時~18時
不定休