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iPhone、世界スマホ市場で3位に後退 中国メーカーがアップルとサムスンへの脅威に

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルの今年(2018年)4〜6月期における「iPhone」の販売台数は4130万台だった。

 1年前の同じ時期の台数は4102万6000台だったので、わずか1%の伸びにとどまる。

 しかし、昨年11月に市場投入した高価格端末「iPhone X」や、最近力を入れているサービス事業などが好調で、アップルの売上高は4〜6月期として過去最高の532億6500万ドルとなった。前年実績と比較し、17%の増収だ。

ファーウェイ、40%増で2位に浮上

 一方でアップルは4〜6月期の世界スマートフォン市場で、出荷台数の順位が3位に後退した。

 米国の市場調査会社IDCによると、アップルは2010年4〜6月期以来、常に出荷台数のランキングで上位2社に入っていた。

 しかしこの4〜6月期は、中国ファーウェイ(華為技術)がアップルを抜いた(図1)。

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 4〜6月期の出荷台数ランキングを見ると、首位は韓国サムスン電子。2位、3位はファーウェイとアップルで、これに中国シャオミ(小米科技)と中国オッポ(広東欧珀移動通信)が続いた。

 このうち、サムスンの出荷台数は7150万台で、2位以降を大きく引き離している。ただ、その台数は1年前から10.4%減少。これに対し、ファーウェイの台数は5420万台で、同40.9%増加している。

今年も10〜12月期に盛り返せるか?

 別の調査会社であるカナリスも同様のレポートを公表している。

 以下の図2を見るとよく分かるが、アップルの出荷台数は、毎年10〜12月期に大きく伸びる。過去2年では、この時期にサムスンを抜いて1位に浮上した。

 そして、翌1〜3月期になると減少に転じ、4〜6月期には最も落ち込む。その後、新製品の発売時期である7〜9月期に盛り返しが始まる。

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 iPhoneには、こうした販売サイクルがあるため、おそらく2018年以降も、同じパターンで推移するだろうと、IDCは見ている。

 一方、カナリスによると、ファーウェイは、アジアと欧州市場で販売攻勢をかけており、サムスンにとって脅威的な存在になりそうだという。

 ファーウェイの「Honor」をはじめとするブランドは勢いを増しており、同社は今後もその高い成長率を維持するとカナリスは見ている。

有望なサービス事業に必要なものとは?

 アップルも安閑としてはいられないとカナリスは指摘する。アップルは販売台数の鈍化を、高単価端末で補っている。

 この4〜6月期におけるiPhoneの平均販売価格は724ドルとなり、1年前から約20%上昇した。これは価格が999ドルからと高額なiPhone Xが好調に売れた結果だ。

 しかし、アップルは、より安価なiPhoneで、急成長しているサービス事業を後押しすべきだと、カナリスは指摘している。

 アップルのサービス事業には、Apple Music、iTunes、App Store、iTunes Moviesなどがあるが、2017会計年度における売上高は299億8000万ドルだった。

 今年4〜6月期のサービス事業の売上高は、四半期ベースで過去最高の95億4800万ドルとなり、1年前から31%増加。

 これには、サムスンとの係争和解による一時的な収入(2億3600万ドル)も含まれる。しかしたとえ、これを除いたとしても、高い伸び率だ。

 アップルのサービス事業は、パソコンのMacやiPadのそれを上回り、iPhoneに次ぐ大きな事業へと成長している(図3)。同社は、これを2020年までに年間500億ドル規模に拡大させたい考えだ。

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 その目標を達成するためにも、アップルは価格競争力の高いiPhoneを販売し、利用者数を拡大すべきだと、カナリスは指摘している。

(このコラムは「JBpress」2018年8月2日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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