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【10月のマラソンは要注意】秋のマラソンをしっかり走るために、大会の1週間前から準備して欲しいこと

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

夏場の暑さも和らぎ、マラソン大会も多く開催されるようになってきました。涼しくなってきて走りやすくなったから、結果も出るんじゃないか?そう考えて大会に挑むランナーも多いのではないでしょうか。
ですが注意が必要です。我々ドクターランナーの中には、6月と10月の大会は要注意と言う方がいます。というのもまだまだ10月の大会は、ランニングをするには暑い気温になることが多いんです。例えば都心の平均最高気温は20度以上で、マラソンに適した5~15度より高温です。そして我々市民ランナーが練習をする早朝や夜間は、大会のある日中よりも気温が低くなります。

10月6日の東京都心(大手町)の天気:tenki.jpより
10月6日の東京都心(大手町)の天気:tenki.jpより

10月6日の東京の天気でみてみると(tenki.jpより)、早朝(午前6時)に練習する方は気温17.7度で日照があり、夜間(午後6~9時)に練習する方は気温20度前後で日照なしの中走っています。対して大会のある9~12時では、23度で日照のある中で走ります。おそらく体感温度で5度以上違うと思います。
さらに夏の暑さの中で練習して身に着いた暑熱馴化も、この時期段々薄れてきています。個人差もありますが、だいたい2-4週間で失われていくと言われています。

暑熱馴化の減衰(脱馴化)と再馴化

暑熱馴化の脱馴化と再馴化:Daanen HAM et al.Sports Med.2018
暑熱馴化の脱馴化と再馴化:Daanen HAM et al.Sports Med.2018

そこで、この秋のレースをしっかり走るために、しっかりと再馴化することが大事です。上のグラフは2018年のオランダからの、暑熱の脱馴化と再馴化をまとめたレビュー論文からです。暑熱馴化で得られた暑熱下での心拍数や皮膚温・パフォーマンスが、12日間でどのくらい失われたか、また再度暑熱馴化することでどのくらい戻るのかをまとめたものです。
12日間、熱暴露から遠ざかることで、約半分まで暑熱馴化が失われていることが分かります。ですが、わずか3日暑熱馴化することで、ほとんど完全に暑熱馴化を取り戻していることが分かります。

約1ケ月は、短期間での再馴化が可能

再馴化までの期間が12日間と26日間の比較:Daanen HAM et al.Sports Med.2018
再馴化までの期間が12日間と26日間の比較:Daanen HAM et al.Sports Med.2018

前グラフは12日間の脱馴化のあとの再馴化を調べたものでしたが、実際には約1ケ月間は短い再馴化で暑熱適応が得られると言われています。上のグラフは12日間の脱馴化と26日間の脱馴化の後に、暑熱下でのトレッドミルウォーキングでの心拍数の上がりにくさを調べたものです。結果26日間も脱馴化をしてしまっても、12日の脱馴化と同様に4日間程度の再馴化で高い効果が得られています。

10月の大会に向けての、おすすめの再馴化

以上のことからも、再馴化をするのは大会の1週間前からで十分です。その頃にはもう練習はテーパリングに入っていて、長時間のランニングは必要がなくなっていると思います。
・大会の1週間前に、短い距離のレースに出て暑さに体を慣らす。
・仕事の昼休みに走る。
・早朝や夜間の練習の場合、練習後に入浴やサウナを組み合わせる。
サウナや入浴にも暑熱馴化の効果があると言われています。昼の練習が難しければ、朝や夜の練習後に、入浴やサウナでしっかり汗をかくようにしてみて下さい。

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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