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梅雨前線が大きく南下し沖縄・奄美は梅雨の中休み その他の地方の梅雨入りはいつ?

饒村曜気象予報士
大きく南下した梅雨前線と大陸育ちの高気圧(6月5日15時の天気図と衛星画像)

大陸育ちの高気圧

 日本列島は大陸からの乾燥した高気圧に覆われ、晴れて気温が上昇している所が多くなりました(タイトル画像)。

 大陸育ちの高気圧ですので、気温は極端にあがらない、乾燥した心地よい暑さでした。

 全国で一番気温が高かったのは、岐阜県・揖斐川の31.1度で、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのは岐阜県の4地点(気温を観測している全国914地点の約0.4パーセント)でした(図1)。

図1 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(6月6日以降は予想)
図1 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(6月6日以降は予想)

 また、最高気温が25度以上の夏日は386地点(約42パーセント)にとどまり、ゴールデンウィークの頃の季節外れの暑さには及びませんでした。

 とはいえ、これでほぼ平年並みです。

 5月21日に平年より9~11日遅れて梅雨に入っている沖縄・奄美地方は、梅雨前線が大きく南下しているため、沖縄県先島諸島を除いて梅雨の中休みとなりました。

 沖縄・奄美地方は、近年、梅雨入りが遅れる傾向にあり、令和6年も遅れました。

 しかし、その他の地方では梅雨入りが遅れるという傾向はでていません。

 梅雨入りの平年は、九州南部5月30日、関東甲信6月7日などですが、今週は大きな高気圧に覆われて晴天の所が多く、梅雨入りはなさそうですので、今年は各地とも遅い梅雨入りの年になりそうです(表)。

表 令和6年(2024年)の梅雨入り
表 令和6年(2024年)の梅雨入り

関東甲信地方の梅雨入り

 昭和26年(1951年)から昨年までの73年間で、関東甲信地方で梅雨入りが一番多かったのは6月上旬の後半(6日から10日)ですが、平成13年(2001年)以降に限っても、6月上旬の後半が一番多くなっています(図2)。

図2 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図2 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 関東甲信地方で、梅雨入りが一番遅かったのは、平成19年(2007年)の6月22日ですが、今年はこれより遅くなる可能性があります。

 ウェザーマップが発表している16日先までの天気予報によると、傘マーク(雨)が連続していません(図3)。

図3 東京の16日先までの天気予報
図3 東京の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度が5段階で1番低いEや、2番目に低いDを多く含む予報で、黒雲マーク(雨の可能性あるくもり)も多いとはいえ、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ないくもり)が目立つ予報です。

 ただ、九州南部は少し事情が違います。

九州南部等の梅雨入り

 昭和26年(1951年)から昨年までの73年間で、九州南部で梅雨入りが一番多かったのは5月下旬の後半(26日から31日)です。

 平成13年(2001年)以降に限ると、一番多いのが、5月下旬の後半ですが、6月上旬後半も比較的多く、沖縄・奄美地方ほど目立ってはいませんが、梅雨入りが遅い年が増えています(図4)。

図4 九州南部の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図4 九州南部の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 ウェザーマップが発表している鹿児島の16日先までの天気予報によると、6月8日から21日まで、連続して傘マーク(雨)か黒雲マーク(雨の可能性あるくもり)です(図5)。

図5 鹿児島の16日先までの天気予報
図5 鹿児島の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度が5段階で1番低いEが1つしかない予報で、東京の16日先までの天気予報よりは信頼度が高い予報です。

 今週末に、九州南部で平年より1週間ほど遅い梅雨入りの発表があるかもしれません。

 ウェザーマップが発表している高知の16日先までの天気予報によると、6月11日と17日にお日様マーク(晴れ)があり、傘マーク(雨)は鹿児島ほど連続していません(図6)。

図6 高知の16日先までの天気予報
図6 高知の16日先までの天気予報

 これは、太平洋高気圧の北上がいまだ弱く、北上しても九州南部までということの反映で、九州南部と同じ今週末に梅雨入りしても、再来週の18日頃に梅雨入りしても、どちらでもおかしくないことを示す予報となっています。

 いずれにしても、四国地方の梅雨入りは、平年よりかなり遅くなり、四国地方の梅雨入りを担当する予報官は、難しい判断を迫られていると思います。

 今年は、全国的に梅雨入りが遅い年となりそうですが、梅雨期に災害が少ないというわけではありません。

 2年前の令和4年(2022年)も、各地で梅雨入りが遅れましたが、梅雨に入るとすぐに空梅雨・猛暑となり、梅雨明け間近となると東・北日本を中心に大雨が連続しています。

 そして、熱中症や水不足による野菜の被害や、大雨による土砂災害などという、正反対の災害が多発しています。

 これから梅雨本番が始まりますので、最新の気象情報の入手に努め、注意・警戒してください。

タイトル画像、図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図4の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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