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カブレラが三冠王の後、3部門とも3位以内は5人。現在の大谷は打率とホームランが1位、打点は2位

宇根夏樹ベースボール・ライター
ミゲル・カブレラ/捕手はクリス・スチュワート August 9, 2012(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズン、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、打率.321、41本塁打、103打点を記録している。大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、打率.309、33本塁打、79打点だ。ジャッジは、ホームランと打点がア・リーグ1位、打率は3位。大谷は、打率とホームランがナ・リーグ1位、打点は2位に位置している。

 今から12年前、ミゲル・カブレラは、いずれもア・リーグ1位の、打率.330、44本塁打、139打点を記録した。その後、三冠王は出ていない。

 カブレラが三冠王となった後、2013年~23年の11シーズンに、3部門ともリーグ3位以内に位置した選手は、5人いる。

 2013年のア・リーグでカブレラが首位打者(.348)と2位(44本)と2位(137打点)、2018年のア・リーグでJ.D.マルティネス(当時ボストン・レッドソックス/現ニューヨーク・メッツ)が2位(.330)と2位(43本)と打点王(130打点)、2018年のナ・リーグでクリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)が首位打者(.326)と3位タイ(36本)と2位タイ(110打点)、2020年のナ・リーグでマーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)が3位(.338)と本塁打王(18本)と打点王(56打点)。そして、2022年のア・リーグでジャッジが2位(.311)と本塁打王(62本)と打点王(131打点)だ。

 2020年は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、レギュラーシーズンが1チーム60試合に短縮された。

 2013年のカブレラの場合、2シーズン続けて三冠王の可能性は低かった。本塁打王と打点王のクリス・デービス――ファーストネームのイニシャルはC――は、53本塁打と138打点。打点の差は皆無に近かったが、ホームランはカブレラより9本多かった。

 あとの4人のうち、タイトルを獲得できなかった部門のトップと近かったのは、2018年のイェリッチと2022年のジャッジだ。イェリッチは、本塁打王のノーラン・アレナード(当時コロラド・ロッキーズ/現セントルイス・カーディナルス)と2本差、打点王のハビア・バイエズ(当時シカゴ・カブス/現デトロイト・タイガース)とは1打点差。ジャッジは、首位打者のルイス・アライズ(当時ミネソタ・ツインズ/現サンディエゴ・パドレス)と5ポイント差だった(.001=1ポイントとして表記)。

 今シーズンのジャッジの場合、ホームランは2位のアンソニー・サンタンダー(ボルティモア・オリオールズ)より9本多く、打点は2位のホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)に10打点差をつけている。一方、打率は1位のボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)に24ポイント差をつけられている。ウィットJr.とジャッジの間には、打率.330のスティーブン・クワン(ガーディアンズ)もいる。ジャッジは、二冠王にはなれても、三冠王は難しい気がする。

 一方、大谷は、打率が2位のアライズと3ポイント差、ホームランは2位のオズーナと1本差。打点はオズーナのほうが多く、大谷との差は7打点だ。いずれも差は大きくないでないので、大谷は、三冠王になるかもしれないが、二冠や一冠、あるいは無冠の可能性もある。

 なお、オズーナは、打率も.300と低くなく、4位に位置している。こちらの三冠王も、あり得なくはない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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