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ワールドカップで地元凱旋の姫野和樹、日本代表で触れたいリーダー学とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ひたすら突進。(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 ラグビー日本代表は10月5日、ワールドカップ日本大会の予選プールA・第3戦でサモア代表と激突する。

 ナンバーエイトで先発する姫野和樹は、愛知・春日丘高校出身で帝京大学を経て現トヨタ自動車所属。会場の愛知・豊田スタジアムをおひざ元とするだけに、大いに注目される。

 パワフルなプレーを長所とする姫野は、身長187センチ、体重108キロの25歳。9月28日の予選プールA・第2戦でも持ち味を発揮し、世界ランク2位のアイルランド代表を19-12で撃破。勝利の立役者となった。

 トヨタ自動車ではルーキーイヤーから主将を任されており、日本代表でもリーダーズグループに名を連ねている。試合前日会見では、現チームを引っ張るふたりのリーダーについても言及した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部。

――地元の豊田スタジアムでの先発です。

「地元でプレーできることは嬉しいです。お世話になった方が、親、先生などかたくさんいるので、自分の感謝の気持ちをプレーで表現できたらと思っています」

――サモア代表戦でのフィジカルバトルに向けて。

「サモア代表のフィジカルに対して負けない自信はあります。そこで僕がどんどん前に出ないとブラウニー(隣に座るトニー・ブラウンアタックコーチ)に怒られますし! そこが自分の仕事で自分の持ち味なので、出せていけたら」

――選手はアイルランド代表戦を経て「ゼロからのスタート」と口々に言いますが。

「アイルランド代表に勝って気持ち的におごってしまう傾向もある。そこでチーム全体として一貫性を持った準備を心がけて。(アイルランド代表戦は)もう過去のことですし、次の試合も待っているので、目の前のプレーひとつひとつにフォーカスしてやっていこうと今週1週間やってきましたし、チーム全体で集中しているいい状態です。はい」

――サモア代表戦ではピーター・ラブスカフニ選手がゲーム主将で、リーチ マイケル主将とともにチームを引っ張ります。リーダーズグループの一員でもある姫野選手は「将来、日本代表の主将を目指す」とも話していますが、2人を見てどう思いますか。また、現在ご自身はチームにどんなアプローチをしていますか。

「いやぁ、もう2人ともいいリーダーシップを発揮していますし、すごいリーダーだと思います。僕は彼らと一緒のチームでやれているので勉強になるところが多くて。僕はまだまだなので彼らから学ぶことが多いですし、このワールドカップの本番のなかでも、余裕があれば試合中の彼らのリーダーシップを見ていきたいと思っています。

 僕がいちリーダーとしてチームにやれることは、身体で示すこと。苦しむチームに助けるプレー、チームを助けて『行くよ!』という(働きかける)リーダーシップです。いまは、ピンチをチャンスに変えられるプレーができればいいと思います」

――ワールドカップ3戦目。疲れも出てくると思うが、コンディションは悪くないのでは。6月以降の宮崎、網走での直前合宿の成果でしょうか。

「もちろんキャンプで得たことは大きいです。体力的にもメンタル的にもチームはすごくタフになりましたし、キャンプで培ってきた自信もある。グラウンドのなかで胸を張って、堂々と戦っていると思います」

 立場が人を成長させるという普遍的事象を体現する姫野。代表選手として地元凱旋を果たす今度の試合で、さらなるジャンプアップを目指す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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