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「今週末に世界王者になり、いずれ田中恒成とフライ級で再戦したい」 アンヘル・アコスタ(プエルトリコ)

杉浦大介スポーツライター
田中戦の結果は未だに残念そうだったが、筆者のすべての質問に丁寧に答えてくれた。

12月2日 ニューヨーク マディソン・スクウェア・ガーデン

WBO世界ライトフライ級王座決定戦

アンヘル・アコスタ(プエルトリコ/27歳/16勝(16KO)1敗)

ファン・アレホ(メキシコ/33歳/24勝(14KO)4敗1分)

アンヘル・アコスタ

 2012年11月にプロデヴューし、無傷のまま16連続KOを記録。しかし、世界タイトル初挑戦となった今年5月20日、WBO世界ライトフライ級王者田中恒成(畑中)に5回にダウンを奪われた上で判定負けを喫した。オーソドックス・スタイルのパンチャーで、ミゲール・コット・プロモーションズに所属している。

*インタヴューは11月30日の記者会見時に通訳を通して行われた

初戴冠へ準備万端

ーー2度目のタイトル戦直前ですが、調子はどうですか?

AA : 良い感じですよ。準備は万全です。

ーーウェイト調整は?

AA : 問題ないです。現時点でリミットを1パウンドオーバーで、この後に少し練習すればリミットまで落ちると思います。

ーー対戦相手のアレホをどう評価しますか? 

AA : 私と同様にハングリーな選手という印象ですね。良い状態で出てくるでしょうし、それは私にとっても同じこと。ついにベルトを手にするときが来たんです。

ーー良い思い出ではないとは思いますが、日本で開催された前戦についていくつか質問しても構いませんか? 

AA : はい、もちろんです。

ーー田中恒成とのファイトは好試合でしたが、判定負けで初黒星となりました。

AA : 1つ言えることがあるとすれば、プエルトリコとニューヨークなら時差もないですが、プエルトリコと日本は大きく異なる環境だということです。また、食事が合わなかったのも厳しい材料になりました。 

田中との再戦は中立地のアメリカ開催を希望

ーーそれでも序盤は好スタートを切ったと思いますが、田中のボディ攻めを境に流れが変わったように見えました。 

AA : 先ほども言ったように、時差、食事が大きかった。ただ、田中の勝利を貶めようとは思いません。彼は偉大なファイターであり、あの日の勝者です。彼こそがチャンピオンなのだから、心から賞賛したいです。 

ーージャッジの採点は納得できましたか? 

AA : 1、2、3回は上回ったと思ったし、7、8、11ラウンドも際どかったように思いました。ただ、ジャッジの採点はリスペクトします

ーー田中もアコスタ選手を高く評価しており、試合後のリング上では「最高のライバル」と呼んでいました。同じ思いですか? 

AA : その通りです。田中は素晴らしいファイターだし、人間的にも優れていました。これまで達成したことは素晴らしいと思うし、私にチャンスを与えてくれたことに感謝もしています。 

田中のタイトル返上のニュースはこのインタヴュー中に明かされた
田中のタイトル返上のニュースはこのインタヴュー中に明かされた

ーー今回の試合は暫定タイトル戦ということで、勝てば再び田中の指名挑戦者ということになりますね。 

AA : いえ、今朝ですが、田中がWBOの世界タイトルを返上するという話を聴いたところです。つまり今週末の試合はWBOの正規タイトル戦になるということ。ここで何としてもタイトルを奪いたい。そして、1、2度防衛し、その後に私もフライ級に上げ、いずれぜひとも田中と再戦したいと思っています。

ーー話を聴いている限り、日本では調整が難しかったようですね。田中とのリマッチにせよ、他の選手との対戦にせよ、再び日本で試合をすることに抵抗はありますか? 

AA : フライ級で私と田中が互いに王者になり、統一戦という形になるのであれば、中立地であるアメリカで開催できればと思います。それが難しいのなら、日本に行くのは構いません。また、母国プエルトリコのファンの前でビッグファイトがしたいというも私の願いの一つです。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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