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北朝鮮の秘密「水中兵器」に衝撃を受けた韓国 韓国紙社説は防衛システムの強化と野党の責任追及に分かれる

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
核無人水中攻撃艇による爆発実験(労働新聞から)

 北朝鮮が3月23日に核無人水中攻撃艇(魚雷艇)による爆発実験を行ったことを韓国のメディアはどう受け止めているのだろうか?

 社説で取り上げたメディアは保守系の「文化日報」や「世界日報」を含めると7紙あったが、北朝鮮のミサイル脅威への対処を急がなければならないと論じた社説もあれば、北朝鮮のミサイル開発を黙認してきた歴代進歩政権を批判する社説もあった。ここではその中から5紙の論調を取り上げる。

▲国民日報「北 核魚雷爆破実験初公開 挑発を止めよ」

 「北朝鮮は最近、弾道ミサイルを移動式発射台からだけでなく、列車、潜水艦、貯水池などから発射するなどさまざまな実験を行っているが、挑発行為は止めるべきだ」 

 「北朝鮮が核兵器を高度化し、かつてない強度でミサイル挑発を行っているのに我々の防衛態勢に問題はないのか?昨年末に北朝鮮の無人機が白昼にソウル上空を侵犯した時、我が軍は無人機が侵入したことさえ知らず、国民は安保不安に襲われた。核魚雷も浅瀬に侵入すればお手上げである。尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領は『西海守護の日』(24日)の記念式典で「無謀な挑発には必ず代償を払わせる」と北朝鮮に警告した。大統領が強調した韓国の3軸システム、いわゆるキルチェーンの画期的な強化が急務である。韓米、韓米日間の安全保障協力を一層強化しなければならない。政府と軍は国民の人命と安全を最優先に考え、北朝鮮の挑発への備えを徹底すべきである」

▲東亜日報 「韓米作戦計画を補完し、金正恩の妄想を覚ますべき」

 「北朝鮮は長距離から短距離まで多種の弾道ミサイルと巡航ミサイルをテストし、移動式発射台、列車、潜水艦、貯水池、地下格納庫などの発射装置と場所を多様化させている。打撃方式でも空中と水中爆発を見せつけている。彼らの技術的完成度や実用能力をそのまま信用することはできないが、米韓の探知、迎撃を回避し、加工した爆発力を誇示する武力示威で韓国と米国を嘲笑するつもりだ」

 「北朝鮮は、韓米の大規模合同演習『フリーダムシールド』(FS)中にさらに変化無双の挑発を行った。北朝鮮はFS演習中に近距離、短距離、長距離の弾道ミサイルと潜水艦発射巡航ミサイル、さらには核魚雷まで大胆な挑発を行った。朝鮮半島に米国の戦略的資産が大規模に展開しても気に留めようともしない。あらゆる種類の核運搬能力を持ったので恐れるものは何もないとの金正恩(キム・ジョンウン)の傲慢さの表れでもある。しかし、核、通常兵器、ミサイル防衛能力を含む韓米の三次元の力を考えると、北朝鮮が信頼している核兵器は脅迫、恐喝、そして最終的には自滅の手段でしかない」

 ▲ソウル経済「北朝鮮 水中・空中・地上核武力誇示・・・3軸体系の高度化を急げ」

 「核魚雷攻撃は地上の固定式発射台又は移動式発射装置からの発射に定めた我々の3軸システムでは対応が難しいという点で深刻である。韓国型3軸システムはキルチェーン、韓国ミサイル防衛(KAMD)、大量報復報(KMPR)で構成されている。北朝鮮が公開した戦略巡航ミサイルは東海(日本海)を8字形態で約1500~1800kmを飛行した後、高度600mで爆発した。低軌道で方向を変えながら飛行する巡航ミサイルは探知と迎撃が一層難しい。北朝鮮は昨年から列車、貯水池、ゴルフ場の湖のほとり、空港、潜水艦、野山からミサイルの発射試験をやるなど核運搬場所と手段の多様化に注力している。我々の3つの軸のうちキルチェーンとKAMDを無力化する意図のようだ」

 「北朝鮮が核運搬多様化で非対称的な戦力を強化している間、我々の3軸システムは文在寅前政権の5年間で揺れ、崩れてしまった。北朝鮮の目を気にしたあまり、キルチェーンをタブー視し、大規模の米韓軍事演習も中断した。南北と米朝対話のジェスチャーで核・ミサイルの高度化に注力してきた北朝鮮の挑発脅威に振り回されないようにするには実務対応能力を高める必要がある。駐韓米軍が韓国に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を配置して以来6年ぶりに遠隔発射台訓練を初めて実施したと(政府が)24日に明かしたのは拡張抑止次元から意味がある。軍事力の圧倒的優位で北朝鮮の挑発意志を挫くことが『西海守護』勇士らの意志を受け継ぐ道である」

▲朝鮮日報 「民主党は『11年前から核魚雷を開発していた』との北の発表に恥を知れ」

 「北朝鮮の核開発の初期、金大中(キム・デジュン)政権は『北朝鮮に核兵器開発の能力はない』と述べていた。その後、北朝鮮が核実験を行うと、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は『北朝鮮の核兵器が攻撃用とは想像できない』と述べた。鄭世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官も『北朝鮮の核兵器は韓国を攻撃するためのものではない』と述べた。彼らは毎年数十万トンの米と肥料を北朝鮮に提供し、金剛山観光と開城工業団地を通じてドルも供給した。北朝鮮が弾道ミサイルの実験をしても『人工衛星である』と庇っていた」

 「北朝鮮をこれ以上、庇いきれないとなると、北朝鮮は核計画を廃棄するとの論理を持ち出した。文在寅前政権は任期中に『金正恩に非核化の意志がある』と主張した。北朝鮮は2019年にトランプを利用し、核を保有している状態で制裁を解除しようとして失敗すると直ぐにその本性を露わし、超大型放射砲など『新種兵器4点セット』と呼ばれる戦術核の実験を始めた。こうした兵器は数十年の研究開発を必要とする。北朝鮮の対話攻勢の期間中も北朝鮮が対南核攻撃手段の開発を止めなかったことを意味する。それでも文政権は金正恩の非核化の意志を主張し続け、任期満了まで北朝鮮との『平和イベント』に執着した」

 「政治勢力が安全保障問題で意見が分かれることはある。北朝鮮の核開発初期に北朝鮮の目標がわからず、間違った判断を下すこともある。しかし、その判断が間違っていることが明らかになった以上、考えを改め、現実を直視すべきである。それが政党の責務だ。これには左(左派)も右(右派)もあってはならない。国民の生命と国家の安全が懸かった問題に左右は関係ない。しかし、民主党は北朝鮮の核が発展する度に言葉や論理を変えて北朝鮮を庇ってきた。北朝鮮ではなく、国内の政敵のせいで安保が不安だと言われている。民主党は少なくとも北朝鮮が11年前に核魚雷の開発を始めていたという発表に多少でも恥じるべきだ」

▲韓国経済「北 水中核攻撃の脅しまで・・・時間と費用は誰が与えたのか」

 「北朝鮮の核・ミサイルがここに至れば、誰が時間を与え、莫大な資金を出してあげたのかを明確にする時が来た。北朝鮮が過去30数年間、核兵器国の目標を達成するために、『瀬戸際政策』や『サラミ戦術』などあらゆる欺瞞戦術を使用してきたことはよく知られていることだ。脅威レベルを最高レベルに引き上げ、交渉力を高めた後、補償だけを得て、合意を破る形態を繰り返してきた。数多くの合意文書のインクが乾く前に、核実験や長距離ミサイル発射などの挑発を行ってきた。毎回このようにサラミを食べられているにもかかわらず、我々は偽の平和に「オリーブの枝」で応えてきた」

 「しかも、民主党政権時代に行われた南北首脳会談は握手写真以外に何が残っているのか。『6月15日宣言』、『10月4日宣言』、『板門店宣言』、『平壌宣言』はすべて核とミサイルの開発の時間を稼ぎに利用されてきた。金剛山観光の代価として金大中元大統領が北朝鮮に5億ドルを密かに送金した事実が判明したにもかかわらず金元大統領はノーベル平和賞を受賞した。太陽政策、平和繁栄政策で生まれた城工業団地開発や金剛山観光は北朝鮮の核開発と金正恩政権の統治資金の「ATM」の役割と化した。我が国民が核兵器とミサイルを持って生きなければならない絶望的な状況に一体、誰がどう責任を負うべきなのか」

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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