「黒ってる」を流行語に? 「ブラック企業」「ブラック上司」にさせないキーワード
2016年の流行語大賞は、広島東洋カープの緒方監督が発した「神ってる」でした。25年ぶりにセリーグ優勝に導き、さらに流行語大賞まで手に入れるなんて、まさに緒方監督ご自身が「神ってる」感じがします。
さて、この「神ってる」という表現は、「まるで神様のように神々しいことをやってのけた」「信じられないほど神秘的な活躍だ」という意味が込められています。「神ってる」と言ったからといって、決して「神になった」ということではないでしょう。
こう考えると、
「あたかも●●のようだ」
という表現をすべて、
「●●ってる」
と言い換えることができるかもしれません。「まるでセレブのような振る舞いをする人」に「セレブってる」と言えるでしょうし、「あたかも『君の名は。』の瀧(たき)くんのように優しい男の子」に「瀧ってる」と使えるでしょう。
労働時間が長かったり、上司からの理不尽なプレッシャーが激しい職場では、「黒ってる」を使えるかもしれません。たとえば以下のように使用します。
「最近、うちの部署は帰りが遅いよ」
「お前の部署、黒ってるな」
……こんな感じ。他にも、
「昨日の夜、部長から呼び出されて1時間も説教されたよ」
「だんだん部長も黒ってきたな」
……このように使います。
ポイントは、「神」のように、対象となるワードが実態とかけ離れた存在であることです。ジョークっぽく言えるからいいわけであり、もしかなり近しい状態にあるなら、「黒ってる」などと、面白おかしく使えなくなることでしょう。
「最近、うちの部署は帰りが遅いよ」
「お前の部署、黒ってるな」
「今月、残業が200時間を超えそうだから……」
「それじゃあ、まじでブラックじゃないか」
緒方監督は大活躍する鈴木誠也選手に「神ってる」と言ったわけですが、決して「鈴木誠也選手=神様」だと信じて使ったわけではありません。つまり、本当に「ブラックな職場」「ブラックな上司」に対しては「黒ってる」とは言えません。ブラック企業にはまだかけ離れているけれど、「あたかもブラック企業の職場(上司)のようだな」と冗談交じりに使う表現だからいいのです。
チームで活躍する選手に「神ってる」と使えば、その高揚感でチーム内の空気がよくなるでしょう。その選手に負けないよう、自分も「神った」プレーを見せるか、と励む人もいるはずです。
いっぽう職場で「黒ってる」を使えば、このままいくと職場がブラック化するかもしれない。自分も「黒ってる」と言われないよう気をつけたい。と、職場のリーダーたちは思えてくる、だから冗談ぽく流行語にすればよいのです。
多少ブラックな冗談も言える、風通しのよい職場にしていく努力が必要ですね。