まさかHSPは適応障害になりやすい!?当てはまる特徴について解説
こんにちは、精神科医しょうです。
生まれつき繊細な気質を持った「HSP」は、良くも悪くも周りの環境に影響を受けやすい性質を持っています。
些細な言葉を気にして落ち込んだり、自分の意見がなかなか言えず他人の意見を優先したりして、後からもやもや悩むことはありませんか?
そのように、悩みやストレスを溜め込みすぎると「適応障害」を発症してしまう恐れがあります。
適応障害とは、周りの環境に適応できず心身に不調をきたしてしまう心の状態のことをいいます。
HSPと適応障害はどのように関係しているのか、気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、HSPと適応障害の関係、適応障害になりやすい人の特徴、発症しやすいケースなどについて紹介します。
HSPと適応障害の関係
HSPの特徴
HSPは「敏感な人、繊細な人」という意味を持った言葉で、心理学者のアーロン博士が定義した概念です。
代表的な特徴は、処理の深さ、刺激の受けやすさ、共感力の高さ、感受性の高さなどが挙げられます。
下記でHSPの特徴について、見ていきましょう。
・目、耳、鼻、感覚などの五感が鋭く、敏感に感じる
・人混みのような騒がしい場所や刺激が多い場所が苦手
・刺激に敏感なため、疲れやすい
・物事を深く考えることができるが、考えすぎて疲れることがある
・他人や周りからの影響を受けやすい
・周りをよく見ているため、細やかな気遣いができる
・気遣いができる一方、反応を気にして疲れることがある
・感受性が高いので共感や感動しやすい
・ネガティブなニュースや出来事にストレスを受けやすい
以上がHSPの主な特徴です。
考えすぎる、気にしすぎる、疲れやすいなどといった面があり、周りからの影響をとても受けやすい性格の人が多いです。
HSPは適応障害になりやすい?
HSPは生まれながらに持つ「敏感さ」によって、良くも悪くも周りや環境からの影響を受けやすい性質を持っています。
HSPの人は周りと自分の状況をよく見ることができるがゆえに、他人からの評価を気にしてしまう、他人と比べて落ち込んでしまう、自分へのハードルを上げすぎてしまうといった性格傾向があります。
また、環境からの影響はHSPにとってとても大きなものになります。
もともと「敏感さ」や「繊細さ」を持っているので、新しい環境に馴染む際に時間がかかってしまったり、周りからの反応を気にしすぎて疲労が溜まってしまうことがあります。
そうして周りや環境からのストレスが強まった結果、適応障害を発症してしまうというケースがあります。
HSPであれば必ず適応障害を発症するわけではありませんが、その繊細な気質から適応障害になりやすいと言えるでしょう。
適応障害とは
適応障害の原因
適応障害は、ストレスや環境の変化などによって引き起こされる心の状態のことをいいます。
適応障害の原因は、ストレスや環境の変化のほか、個人の性格的な要因や社会的な要因によって引き起こされることもあります。
特にストレスは適応障害の主な原因の一つで、人間関係での悩みや仕事のプレッシャー、身体的な疾患などが引き金となって適応障害を発症する可能性があります。
また、引っ越しや転職、転校、家族の死、天災による被害などで環境が大きく変化した際に、その生活に適応することができず心身に不調をきたす場合があります。
このように適応障害は、環境の変化にともなって誰にでも起こりうるものであり、心身の不調が長期化するとうつ病やほかの心の病気を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
適応障害の症状
適応障害の症状は人によって異なりますが、うつ病のような気分の落ち込みや興味の喪失などの症状が現れる人もいます。
身体的な症状は、頭痛やめまい、腹痛や胸の痛みなどを感じる場合があり、不眠や過眠、食欲不振または過食など、睡眠や食欲に問題が発生する人もいます。
また、適応障害を発症すると、普段の行動自体が変化することがあります。
嫌な場面やストレスを避けるために、交友関係を断絶したり会社に行かなくなったりするなど社会活動に大きな問題が起こり、中にはそのまま引きこもりになってしまう人もいます。
適応障害の人は、社会的な場面や就業的な活動に関して不安や恐怖を感じることも多く、働くことが困難になるケースがとても多いです。
適応障害の治療方法
適応障害の治療方法は、症状や個人の状況によって異なります。
代表的な治療方法としては、心理療法、薬物療法、マインドフルネス、適度な運動、生活習慣の改善などが挙げられます。
心理療法では、カウンセリングや認知行動療法などを用いてさまざまな方法で症状にアプローチしていきます。
ストレス要因に対しての認識の仕方を変えて、対処方法を学ぶことを目的とした治療をおこなうことで、日々のストレスと上手に付き合っていくことができるようになります。
ストレスや不安を緩和するために、マインドフルネスや適度な運動も効果的です。
特に、空気を取り込みながらおこなうウォーキングや軽いランニング、サイクリングなどの有酸素運動はストレスを解消するのに役立ちます。
運動する時間が取れない人は、気分転換に散歩したり緑の多い公園に出かけるだけでもリラックス効果が期待できるのでおすすめです。
適応障害になりやすい人の特徴
適応障害になりやすい人は、以下のような特徴を持っていることがあります。
・ストレス耐性がもともと低い
・神経質な性格だと自分でも思う
・些細な言葉で傷ついてしまう
・悩みを周りに相談せずに一人で抱え込んでしまう
・自分の意見がなかなか言えない
・自分よりも他人を優先することが多い
・他人からの期待に応えようと頑張りすぎてしまう
・気持ちの切り替えが苦手
・頼まれると断れずになんでも引き受けてしまう
性格が適応障害の症状を引き起こす要因になる可能性はありますが、上記のような特徴を持っているからといって、必ずしも適応障害になるわけではありません。
また、適応障害は特徴や性格に限らず、強いストレスを受けることによって誰にでも起こりうるものでもあります。
適応障害を発症しやすい場面
仕事などの社会活動に原因があるケース
適応障害を発症しやすい場面の一つとして、「仕事などの社会活動」に原因がある場合があります。
以下は主な例です。
・職場での人間関係をうまく構築できない
・業務内容や人間関係について相談できる人がいない
・周りからのプレッシャーを感じる時がある
・転勤や部署異動で環境が変わり適応できていない
・業務内容の変化についていくことができない
・業務内容や仕事量について、自分の能力に合っていないと感じる
・管理職など責任のある役職になり、常にプレッシャーを感じる
・家にいても仕事のことで頭がいっぱいになる
・セクハラやパワハラに悩んでいる
新しい仕事を始める際に、大きく環境が変化することで適応障害を発症するケースが多いようです。
誰にも相談することができず、悩みを一人で抱え込んで症状を発症することもあります。
家庭環境に原因があるケース
適応障害を発症する原因として、「家庭環境」に原因がある場合があります。
・家族の関係になんらかの問題があり、悩んでいる
・親戚の付き合いに悩んでいる
・育児や教育についての悩みを抱えている
・引っ越しをして周りの環境に馴染めない
・パートナーとの喧嘩、不仲
・経済的に不安がある
・結婚や離婚で環境が大きく変化した
・受験や就職に悩んでいる、または失敗してしまった
・慢性的な疾患を持っている
・家族の死、天災などで環境が変わった
家庭環境やプライベートにおいては、人間関係の悩みによって適応障害を発症するケースが多いようです。
誰にでも起こりうる原因でもありますので、身の回りの環境が大きく変化した際には気をつけなければなりません。
まとめ
今回は、HSPと適応障害の関係、適応障害になりやすい人の特徴、発症しやすいケースについて紹介しました。
適応障害は、引っ越しや転勤など新生活を始める時期に発症しやすいので、症状が出ていると感じる場合は無理をせずに心療内科や精神科を受診するようにしましょう。
また、ストレスを溜め込まないように相談できる人を見つけたり、自分でできる気分転換の方法などを身につけておくことが大切です。
適応障害の改善には、環境の調整やストレスの要因から離れるなどといったことが挙げられますが、自分一人で解決するには難しいこともありますので、必要に応じてカウンセリングなどを受けるようにしてください。
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