やる気が出ない人の特徴と対策
やる気を出すためにはドーパミンとノルアドレナリン
なぜか、やる気が出ない。なぜか、意欲的になれない。なぜか、モチベーションが上がらない。……このような悩みを抱えている人もいると思います。そこで、「感情のコントロールができない人の特徴と対策」の第二弾、やる気がない人の特徴と対策に関して考えていきます。
まず「やる気が出ない」ことで悩んでいる人は、やる気を出そうとしているが出ない人、ということです。今回のコラムは、ここを前提条件とします。つまり「やる気を出すつもりがない」「やる気を出すという意欲がない」人は除外します。やる気を出す気がないのですから、悩みはありません。また、「やる気はあるのだけれど行動ができない」という人も対象外です。「行動改革」を促すためには、別の手法が必要だからです。
それでは、やる気を出そうとしているのだが出ない人向けに、どうしたらやる気が出るのか、論理的に解説していきましょう。書籍やネットで調べると「好きな音楽を聴く」「リラックスする」「仲間を見つける」「頭を切り替える」「とりあえず休む」……などなど、いろいろな方法が紹介されていますが、もっと再現性のある、科学的なやり方を考えてみます。やる気を上げるために関係のある脳の神経伝達物質は「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」です。
ドーパミンを分泌させる方法
ドーパミンを分泌させるためには楽しいことをすればよいのです。欲求が満たされる、もしくは欲求が満たされるだろうと期待できるときにドーパミンが分泌します。「快感」を得たいという欲求が行動と結びつき、さらなる快感を得ようとやる気が出ます。
たとえば「パズドラ」などのゲームに夢中になっているときを考えます。最初から難易度がきわめて高く、何時間やってもモンスターを倒せないのであれば、いつまでたっても欲求を満たされることがありません。「快感」が得られないのです。しかし「パズドラ」をはじめ、多くのゲームは、最初は少し頑張れば次のステージへ進むことができるよう、シナリオ設計されています。
ドーパミン分泌を促すためには、簡単には手が届かないが、頑張れば達成できそうな目標を掲げ、それをクリアしていくことです。簡単に達成できそうな目標だと、「達成感」を味わうことはできません。それは「快感」ではないのです。「快感」を味わうことで、ドンドン「やる気」が出てきます。
ノルアドレナリンを分泌させる方法
ノルアドレナリンは、ストレスを覚えたときに分泌されるものです。恐怖や緊張を感じるとノルアドレナリンが出て、何とかしてそのストレスを回避したいとします。まさかの「●●」がモチベーションをアップさせる! いつも「目標達成できる人」の謎で紹介した「損失回避性」という心理は、このノルアドレナリンが関係していると思われます。
過剰なストレス、過小なストレスはパフォーマンスを下げる。これを「ヤーキーズドットソンの法則」と呼びます。適度なストレスを与えることによって「やる気」は促進されるのです。
「やる気」を出すためには「短い期限」の設定をお勧めします。「1時間でこの資料を作る」「明日までに今月の予定を立てる」「3日で10キロ走る」などです。こうすることで、ちょっとした緊張感を覚えます。ノルアドレナリンが分泌された証拠です。
「やる気」が出ない人の特徴と対策
「やる気」を出すためには、ドーパミンとノルアドレナリンの分泌を意識すればいい、と書きました。つまり「やる気」が出ない人の特徴としては、
● 目標がない(目標があっても達成しなくてもよいと考えている)
● 期限がない(期限があっても期限内にやらなくてもよいと考えている)
のどちらか、です。
たとえば専業主婦の人、会社をリタイアした人だと、毎日の生活の中で「目標」と「期限」の概念が不明瞭になるケースもあるでしょう。そういう生活の中で長期間過ごしていると、何となくやる気が出ない、意欲的に行動できない、という倦怠感に見舞われていきます。仕事の中でも、やってもやらなくても同じ。何かを目指して頑張っていても誰も叱らないし、褒めないし、評価もしない。相互に無関心であれば、当然「やる気」はなくなっていきます。
小さくてもいいので、「目標」と「期限」を明確にし、自分に適度なストレスをかけていきましょう。小さな欲求が満たされ「快感」を味わい、さらに大きな「やる気」を手に入れられるようになるのです。
(※関連記事:やる気を出す気がない「やる気貧乏」の人の特徴と対策)