台風5号がカギを握る令和元年の梅雨明け
続く梅雨空
令和元年の梅雨明けは、沖縄で平年より6日遅い6月29日、奄美で平年より14日遅い7月13日でしたが、それ以外の地方では、まだ梅雨明けをしておらず、雨や曇りの日が続くという梅雨空が続いています(表)。
平年の梅雨明けは、九州南部で7月14日、四国で7月18日ですので、西日本の梅雨明けは、平年より遅くなりそうです。
また、東日本や東北では平年でも梅雨期間なのですが、関東地方を中心に平年より気温が上がらず、日照時間も短い梅雨末期になっています。
例えば、令和元年(2019年)7月に東京で夏日(最高気温が25度以上)にならなかった日は、7月16日までに11日あります。
平成元年以降では、平成5年(1993年)の14日に次ぐ日数で、平成15年(2003年)の10日を上回っていますので、16年ぶり、あるいは26年ぶりの寒い7月ということができそうです。
また、東京の7月の日照時間は、1日から16日まで、すべてを合わせて5.6時間しかありません。
晴れれば1日で達成できる日照時間の観測が、半月以上もかかっています。
週間天気予報では
気象庁が発表した主要地点の週間天気予報では、傘マークがあるのは、20日(土)までで、お日さまマークが全国的に揃うのは23日(火)です(図1)。
つまり、週間天気予報によれば、21日~23日の間で、ほぼ全国一斉に梅雨が明けることが示唆されます。
しかし、21日から23日の予報に対する気象庁の信頼度は、ほとんどの地点において、3段階表示で一番低いCとなっています。
これは、台風5号の動向によって、全国の週間天気予報が大きく変わるからです。
北上する台風5号
7月16日15時にフィリピンの東海上で発生した台風5号(ダナス)は、西進のち北進し、18日夜には、沖縄県先島諸島に接近する見込みです(図2)。
(台風情報は、気象庁の発表する最新のものをお使いください。)
そして、その後、東シナ海を北上する見込みです。
この台風の進路は、太平洋高気圧が張り出してくることにより、上空の偏西風が北に押し上げられることを示唆しています。
台風の北上後には太平洋高気圧が張り出し、梅雨前線が北に押し上げられることで梅雨明けになるかもしれません。
なお、戦前の中央気象台(現在の気象庁)では、「台風が日本付近を北上するときは高気圧が張り出してくるので冷夏にならないが、夏に東進する場合は冷夏に注意」という伝承があったといいます。
資料は少し古くなりますが、以前に、昭和26年(1951年)から昭和52年(1977年)の資料を用いて、台風について調べたことがあります。
7月の台風の統計では、令和元年の台風5号のように、東シナ海を北上するものが一番多いと言えます(図3)。
雨に注意
前述の図2で示すように、台風5号は現在から5日先までの間、多少発達はしても、暴風域(風速が毎秒25メートル以上の範囲)は持たないという予報です。
ただ、台風5号は雨には警戒が必要です。
梅雨前線を刺激して大雨になる可能性がありますが、特に、台風の進行方向が北を保ったまま加速しないで北上する場合は、山の同じ斜面で雨が降り続く可能性があり、土砂災害の危険性がでてきます(図4、図5)。
最新の台風情報の入手に努め、特に雨に警戒が必要です。
タイトル画像、図1、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図2、図4、表の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。