東京で初の20度超え 天気予報でおなじみの平年値はなぜ30年間のものなのか
東京都心で初の20度超え。12日は平年より8度以上高い21.8度を記録し、大型連休頃の気温となった。天気予報でおなじみの平年値は世界共通の方法で求める。でもどうして30年間なのか?実はやむを得ない理由があった。
20度超えは例年3月8日頃
きょう(12日)は全国的に晴れた所が多く、春らしい陽気となりました。東京都心は午後1時頃、最高気温21.8度を記録し、今年初めて気温が20度を超えました。平年で言えば、ちょうど4月下旬、大型連休頃の気温です。
この季節を先取りしたような暖かさは特別のように感じますが、調べてみるとそうでもないようです。東京の場合、その年初めて気温が20度を超える日は平均して(1991年~2020年)3月8日頃です。今年は早くもなく、遅くもなく、ちょうどのタイミングでした。
季節のずれは平年値で知る
桜が咲くころに一時的に寒くなることを花冷え、暖かくなった晩春のころに一時的に寒さがぶり返すことを寒の戻りというように、春は一年でも寒暖差が大きいときです。わざわざ言われなくても、体感だけでも十分わかりますが、天気では平年値を使って、季節のずれを表現することが多いです。天気予報でおなじみの平年値、そもそも平年値はどうやって決めているのでしょう。
平年値とは?
気象庁の気象観測統計指針、いわゆる気象観測の手引き書では平年値を次のように定めています。
平年値はその時々の気象(気温、降水量、日照時間等)や天候(冷夏、暖冬、少雨、多雨等)を評価する基準として利用されると共に、その地点の気候を表す値として用いられる。
つまり、平年値には二つの意味があり、ひとつは気象や天候を判断する基となるもの、もうひとつはその場所の総合的な天気の状態を示すものです。言うなれば、平年値とは「天気のものさし」で、天気予報には欠かせないもの。だから何でもかんでも平年で比べてしまうのです。
30年間はやむを得ず
今使われている平年値は1991年~2020年までの30年間を基準に作られています。それにしても、なぜ30年間なのでしょう?
実は日本だけではなく、世界共通で30年間なのです。先ほどの気象観測手引きによると、平年値の統計期間を30年間と決めたのは1935年、世界気象機関(WMO)の前身である国際気象機関(IMO)の会議です。1901年~1930年の30年間を平年値の統計期間とすることが勧告されました。
さらに、世界気象機関(WMO)の資料を読むと1935年当時、利用できる気象データに限りがあり、平年値を30年間としたのはやむを得ない判断だったようです。1935年といえば、昭和10年です。
ただ、平年値を30年間とすることに議論の余地がないわけではありません。温暖化が進んでいる今、気温はもう少し短い期間で、一方、雨量はもっと長い50年や80年が妥当という意見もあります。とはいっても、積極的に見直す機運もなく、天気の真の姿を表すのは一筋縄ではいかないようです。
【参考資料】
気象庁:気象観測統計指針(第1部)
世界気象機関(WMO):WMO Guidelines on the Calculation of Climate Normals