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「28年かぁ…」つぶやく声の隣で、見上げる花々。今日ここにいた人々との静寂の時間を胸に【神戸市】

Hinata J.Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

阪神淡路大震災から28年。神戸に住む誰もが、一度はその言葉を噛みしめたであろう今日。神戸、三宮の東遊園地では「1.17のつどい」が行われていました。

会場では、17時頃には既にたくさんのろうそくが灯されていたのですが、消えてしまっている場所を探し歩く人たちの姿と共に、報道の人たちがかなり多いことに驚きました。それだけ、神戸にとって今日は大切な一日。

28年という年数は、かなりの重みがあります。本当に長い間ずっと、神戸ではあの日のことを忘れずに今日まで繋ぎ続けてきました。

明るい街の風景がよみがえり、道ゆく人々の姿が戻ってきた神戸。ここまで生きてこられたことに感謝しつつ、いろんな想いを胸に抱きながら今日、皆さんこの場所に集ってきたのだと思います。

そんな中には、もう全く震災のことを知らないこども達の姿もありました。若い親達がこどもに、大切なことを教えている姿も見受けられます。

公募された今年の言葉は「むすぶ」。紙灯篭でむすぶという字を型取り、そこにローソクの火が灯されていました。紙灯篭にもメッセージが書かれています。そこには「希望」という、未来に向けた文字もありました。

山の上には、いつも見えているKOBEの文字の下に「 117」の数字が灯り、会場から見えるビルの窓にも「117」と点灯されているのが見えています。街全体で慰霊と復興の意思を表示しているようで、神戸の一体感ある行動に感じ入るものがありました。

「希望の灯り」のすぐ近くには、献花されて水に浮かぶ花々がありました。その下が透けて見えるようになっていたのですが、地下に部屋があることに気づき、階段を降りて降りて行ってみます。

この下の部屋は「瞑想空間」という場所になっていて、そこには震災で亡くなった人たちの名前を刻んだ銘板が掲示されていました。

地下から天井の向こうに見える真白な花々を見上げていると、隣にいた人がポツリと「28年かぁ…」とつぶやきました。そんな言葉が心にゆっくりと染み込んできます。

外の会場では、17時46分になると黙祷がありました。その時に感じたのは、今までに体験したことのないような不思議な静寂。ただ静かなのではなく、空間にたくさん何かがあるような…

うまく言えませんが、きっとその場にいた皆んなの想いや願い、祈りのようなものなのだと思います。ローソクの火の暖かさと共に、その気配のようなものを感じながら目を閉じていました。

会場の東遊園地はかなり広いのですが、この時は埋め尽くすほどに人がいました。これだけたくさんの人と同じ瞬間に同じ想いを祈ることで、大きな意思が天まで届くような気がしたのは、きっと私だけではないと思います。

これから未来を作っていくたくさんのこども達も、毎年一緒にこの日この場所に集えることは意味深いですよね。「1.17のつどい」は来年以降も続くでしょうし、「瞑想空間」や「希望の灯り」はいつでも、ずっとこの場所にありますよ。

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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