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スーパーフライ級のダークホース 中谷潤人が語る井岡一翔

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

元WBO世界フライ級王者で、現WBO世界スーパーフライ級1位の中谷潤人(24=M.T)は、年末に行われる世界スーパーフライ級王座統一戦の勝者との対戦が決定している。

この統一戦では、WBO同級王者の井岡一翔(33=志成)と、WBA同級王者ジョシュア・フランコ(27=アメリカ)が対戦する。WBOからの通達により、勝者は180日以内に中谷と対戦しなければならない。

中谷潤人とは

中谷は中学卒業後、単身でアメリカに渡り本場のボクシングを学び、日本でプロデビューを果たした。

長身のサウスポースタイルで、打ち下ろすような左ストレートが武器だ。これまでの戦績は24戦24勝(18KO)。圧倒的な実力から、次世代の井上尚弥として「ネクストモンスター」と呼ばれている。

前回の試合が、階級を上げてから初めての試合で、元世界王者のフランシスコ・ロドリゲスJr(メキシコ)と対戦した。相手の変則的な間合いに手を焼いたが、3-0の判定で勝利。その試合が評価されWBOで1位にランクされ、王者である井岡への指名挑戦権を手に入れた。

加えてWBOからの通達もあり、井岡戦実現の可能性がより高まっている。この日本ボクサーの新旧の王者対決は、ボクシングファンの間でも大きな話題となっている。

井岡は会見で中谷との試合について「チャンピオンとして挑戦者を迎え撃つのは当たり前だと思う。それが中谷潤人選手であろうと、チャンピオンとしての義務」と話している。試合後に指名戦がオーダーされれば、対戦する意向を語った。

中谷は井岡との対戦について「井岡戦についてはメディアで知りました。大きな試合になるし、気持ちも入ると思います。スーパーフライ級のどのチャンピオンでもいいですが、井岡選手と一番戦いたい」と話している。

また、井岡のボクシングスタイルについては「安定感があって繊細で細かいボクシングなので、集中力が必要になると思います。タイミングがピカイチでジャブも良い選手なので、それをどうやって潰していくか考えています」と語った。すでに井岡戦を見据えているようだ。

年末の統一戦を視察した後、年明けからアメリカで合宿をする予定だと言う。

「トレーナーがロス在住なので指導してもらいに行きます。日本もレベルも高いですが、海外はより実戦に特化しています」

現地では実践練習を中心としたメニューをこなすと話していた。大舞台に向けて着々と準備を進めているようだ。

激戦のスーパーフライ級

スーパーフライ級はタレント揃いの激戦の階級だ。現在は以下の王者達が君臨している。

WBA ジョシュア・フランコ

WBC ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)

IBF フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)

WBO 井岡一翔

WBC王者のエストラーダは、3日(日本時間4日)ライバルであるローマン・ゴンサレスとの3度目の対戦に勝利した。全階級で最も強いボクサーを決めるPFPランキングに名を連ねるほどの選手だ。

中谷は「知名度もあって認知されているエストラーダとも戦いたいですね。世界での評価も高いし、盛り上がる試合をやりたいです」と話していた。

階級を上げたばかりではあるが、WBOからの指令もあり対戦相手に困ることはないだろう。

タレントが揃うスーパーフライで中谷はダークホースだ。長身のサウスポーで、テクニックもありパンチも硬い。以前パンチを受けたことがあるが、手が痺れるほどの威力で軽量級離れしている。

今後に向けて「PFPランキングのキングを目指したいです。スーパーフェザー級まで狙っていきたい」と6階級制覇を口にした。

現在2階級目の挑戦ではあるが、約10キロの減量を強いられている現状を考えれば十分に狙える階級だろう。今後も中谷の快進撃に期待したい。

著者撮影
著者撮影

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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