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ロンドンで北欧の安全保障である、10カ国連合の「合同遠征軍」会議が開催。ゼレンスキー大統領も参加

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者
アイスランドのヤコブスドッティル首相が英外務省のクレバリー欧州担当相に迎えられる(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

今日3月15日、ロンドンのランカスターハウスで、北欧の安全保障に焦点を当てた10カ国連合である「合同遠征軍(Joint Expeditionary Force・JEF)」の首脳会議が開催された。

これは2014年9月、英国ウェールズ・サミットで、新しい「枠組み国家群構想(Framework Nations Concept)」という名のもとに、NATOのイニシアチブとして公に発足したものだ。

現在、英国、エストニア、ラトビア、リトアニア、オランダ、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランドで構成されている。

今日の会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も、リモートで発言した。

これはジョンソン首相が呼びかけたものだ。欧州内部の動きを知る上で、大変興味深い。

北欧は、EU加盟国だがNATOには入っていないスウェーデンとフィンランド、NATOにもEUにも入っているが、EUの防衛組織には入っていないデンマーク、NATOには入っているがEUには入っていないノルウェーやアイスランドなど、実に多様性にとんでいる。

いま、スウェーデンやフィランドがNATOに入ろうとする動きがあるので、この会議は注目される。

一方イギリスは、NATO加盟国なので、連絡は密で他の欧州諸国とも歩調を合わせているが、EUからは離脱した。27カ国が集まって、欧州としての政策を決定する場面に存在しない。

戦争が始まって以来、ジョンソン首相は、とりわけロシアに対して強硬な姿勢を見せてきた。

理由はいろいろ考えられる。

まず国内で支持率が落ちていたので、強いリーダーシップを発揮して見せること。ロンドンにはロシアのオリガルヒ(超富裕層)の拠点が多いので、批判を受けていたこと。アメリカとの強い連帯を見せること、そして、EUと一線を画して、一種の牽制に見えるような独自で強い姿勢を見せることーーと筆者は思ってきた。

そんななか、東欧の3首脳がウクライナの首都キエフ(キーウ)を訪問するというニュースが入った。

チェコのフィアラ首相が15日、ウクライナの隣国ポーランドのモラウィエツキ首相、スロベニアのヤンシャ首相と共に、ウクライナの首都キエフを同日訪問すると明らかにしたのだった。

実に変わった組み合わせで、英国+北欧+バルトの動きと、何か関係があるものと思われる。

この会議に先立って、英国は3月8日には、同じくロンドンのランカスターハウスで、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランドの4カ国、すなわち「ヴィシェグラード・グループ(V4)」とも、会合を開いている。

今回の4カ国によるウクライナ訪問では、東欧でウクライナと国境を接していても、ハンガリーとスロバキアが入っていないことにも注目したい。

フランスやドイツが主導する中で、これらの国々が欧州でどういう動きを見せるのか。イベリア半島やイタリアはどう動くか。ルーマニア・ブルガリア等の黒海の国々はどうか。

欧州内の動きが注目される。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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