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現役夫婦世帯の持家率は80.1%…持家・賃貸住宅の割合をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
持家に住めれば家賃の支払いは不要となるがローンの負担が(写真:イメージマート)

家計のお財布事情を推し量る指標の一つが住宅に関する支払い。住まいが持家か賃貸か、持家ならばローン支払い中か否かで大きな違いが生じる。その実情を総務省統計局の調査の一つ「家計調査」の公開結果から確認する。

賃貸住宅の場合は毎月家賃の支払いがあり、賃貸契約更新時には家賃に加えて更新料の支払いが必要になる。一方持家の場合はローンを組んで購入すれば月々・ボーナス払いでのローン返済の負担がある。持家でも一括購入をしたり遺産などで取得した、あるいはローンを完済していればローンの負担は無いが、固定資産税や修繕費などが発生するため、負担がゼロではない(ただし同規模の場合、やはり家賃と比べれば負担は軽い)。

そこでまずは、世帯主の年齢階層別に見た持家率をグラフ化する。ローン完済組・支払い途中組を合わせた、単純な持家率。年金生活者などの状況を含めて確認する際には全世帯を対象に検証すべきではあるのだが、家計調査では「住宅ローン支払い世帯比率」が値として示されているのは二人以上世帯のうち勤労者世帯(原則として現役夫婦世帯)のみ。そこでその世帯に限って精査を行う。つまり、例えば年金の受給と貯蓄の取り崩しで生活を営んでいるような年金生活世帯は対象外となる。

↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2022年)
↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2022年)

若年層世帯の方が持家率は低い。世帯主が29歳以下の夫婦世帯では持家率は半数に満たない。一方、定年退職後の70歳以上の世帯で多少持家率が落ちているが、これは資産を整理して子供などに譲渡し身軽になった上で、賃貸住宅などに住むケースが少なからずあることを意味する(勤労者世帯なので、退職後に嘱託やアルバイトなどをしているのだろう)。

持家に居住していない世帯としては、親の住居に間借りする形で住む場合もあるが(親と同一世帯を構成している場合は今件精査対象にはならない)、多分は賃貸住宅での生活となる。家賃・地代を支払っている賃貸世帯の全体的な傾向としては当然、持家世帯とは正反対の形になる。

↑ 家賃・地代を支払っている世帯率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2022年)
↑ 家賃・地代を支払っている世帯率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2022年)

世帯主が29歳以下の勤労者夫婦世帯では半数以上が賃貸住宅に住んでいる。ところが40代になると賃貸住まい率は2割足らずにまで減少する。40代以上では1割台以下。70歳以上になるとやや値が上がるのは上記の通り、手持ちの資産を売却した上での賃貸住まい組の増加によるものだろう。

肝心の「持家世帯で、ローンを支払い終えた・ローン支払いの必要がない世帯の方が家計の負担が軽いのでは」の話。次のグラフは持家世帯のうち、ローンを支払い中の世帯と、支払い済み・支払い不必要世帯に分けた積み上げ型の棒グラフ。結果としては世帯主の年齢が上がるほど、ローン返済の必要がない・終えた持家世帯率が増えている。

↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別・住宅ローン状況別)(2022年)
↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別・住宅ローン状況別)(2022年)

世帯主の年齢階層別に、生活の苦しさ・楽さを見る際には単なる収入の額(可処分所得ではない)だけではなく、どのような住まいに住んでいるか、ローンの支払いは済んでいるのかも考慮しなければならない。住宅ローンの観点でも、やはり若年層世帯はふところ事情が厳しい、と判断せざるを得まい。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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