韓国の呪われた精神病院で起きる悲劇!!…最恐ホラー『コンジアム』が怖すぎる!!
ホラー映画ファンならぜひ注目してほしい映画がある。3月23日より東京・シネマート新宿ほか全国順次ロードショーとされている『コンジアム』という韓国映画だ。
タイトルの『コンジアム』とは、韓国・京畿道(キョンギド)に実在していた昆池岩(コンジアム)ナミャン神経精神病院のことを意味する。
ここは2012年、CNNによる「世界七大禁断の地」に日本の青木ヶ原樹海、軍艦島と共に選ばれた場所。1992年12月に開院し、1996年に廃墟となったが、あらゆる都市伝説が生まれ、心霊スポットとして人気を博した。韓国にもさまざまな都市伝説があるが、コンジアムもそのひとなのだ。
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そのコンジアムを舞台に作られた同作もまた、韓国で観客動員数267万人を記録、韓国ホラー映画の歴代ランキング2位に輝いている。
昨年、韓国中を見えない恐怖に包み込んだ『コンジアム』は一体どういう映画で、これを作ったのはどういう人なのか。それらを探るべく、日本を訪れたチョン・ボムシク監督と都内でインタビューを行った。
――まずは『コンジアム』の日本公開、おめでとうございます。感想はいかがですか?
「これまでも僕の作品は海外で上映されましたが、日本でも公開されて光栄です。というのも、最近は少し停滞気味とはいえ、ホラー映画といえば日本の“Jホラー”が世界的に脚光を浴びるじゃないですか。だから日本の観客、特にホラー映画ファンがこの作品をどう見てくださるか、すごく気になっています」
――昨年に韓国で公開された時は反応がすごかったと聞きました。韓国では昨年、映画の累計観客数が“2億人越え”しましたが、『コンジアム』も映画関係者たちの間で高い評価を得ましたよね。
「アメリカにはフェイク・ドキュメンタリー形式のホラー映画が有り余るほど存在するのですが、韓国ではまだ商業映画としてしっかり作られたことがなかったんです。だからフェイク・ドキュメンタリーの伝統を持ってきて韓国の観客も受け入れやすくしようとしたのが当たりだったかもしれません。
また、この映画の特徴としてほぼすべてての映像を俳優たちが直接撮影していますが、そうすることで従来のフェイク・ドキュメンタリーから少し進歩した、新しい“恐怖体験”を作ることができたことも、高く評価してくださったようです」
――映画を見た観客の間では、「#コンジアム全然怖くない」というハッシュタグが付いた「眠れない写真」投稿が流行っていましたね(笑)。ところで、キャスト全員が新人俳優という点も興味深かったです。有名俳優や人気タレントはまったくいませんでしたが、そこにも監督の意図があったのでしょうか。
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「そうですね。この映画で最も重要な課題は、観客に“これは現実だ”と思わせることでした。なので、知られた俳優が出てくると、俳優の存在感に圧倒されるのではないかと思ったのです」
―なるほど。昨年はガールズグループApinkのナウンがホラー映画に初主演してしましたが、確かにどうしてもアイドルのイメージが強くなりがちになってしまいますね。
「もう一つは先ほども話した通り、俳優たちが演技と同時に撮影を行わなければならなかったので、すでに現場の経験がある俳優より新人のほうが飲み込みも早いかもしれないと考えました。実際に、撮影が進むにつれて彼らも演技の一部として自然に撮ってくれて、いい映像がたくさん集まりました」
――撮影中、何か記憶に残るエピソードはありましたか?
「やはり最初の“カオス”が印象に残ります。この映画は7人の登場人物がいて、リーダー役の1人を除く6人がコンジアムに入る、という設定です。そしてその6人は各自3台のカメラを回す。顔と目線を映すための特製装置を頭に付けて、1台は手に持っています。
そうやって6人が初めて撮影を行った日は、まさにカオス状態でしたね。もちろん動線とかカメラの位置などはすべて計算されているわけですが、みんな新人だったこともあって“どう演じればいいんですか?”“どこにカメラを向けばいいんですか?”などと、ぐちゃぐちゃ感がすごくて、仰天したくらいです(笑)。幸いなことに、そのカオスが過ぎ去った後はみんなズームを入れるほどの余裕と情熱を出してくれましたよ(笑)」
――そんなにカメラが多かったとは気づきませんでした。撮影にものすごく苦労されたんですね。
「俳優たちが回すカメラが6x3で計18台だとすると、10分撮影した場合、モニターチェックに必要な時間は180分になります。現場では、本当に大事なシーンを除いてはモニターチェックも出来ませんでした。ちゃんと撮れたかどうか、俳優たちとコミュニケーションを通じてお互いを信じながら進めていきましたね」
――編集作業はどうでしたか?
「実は、撮影期間が1カ月半ですが、編集作業はその数倍。13カ月もかかっています。僕が尊敬してやまない黒澤明監督は、カットイン・カットアウトに1週間悩んでいらしたという噂を大学時代に聞いたことがありますが、僕たちの場合は6カ月でした(笑)。ただ、編集作業に念を入れた甲斐があって「青龍映画賞」「大鐘賞」「韓国映画製作家協会賞」で編集賞を頂きました。名高い映画賞のレッドカーペットも踏めて、スタッフ一同、大変喜んでいましたよ」(つづく)