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WBAミニマム級挑戦者決定戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Tom Hogan/Golden Boy

 4戦全勝3KOで、WBAミニマム級2位にランクされるプエルトリコの新星、オスカー・コリアゾと、3名の日本人選手と対戦した元WBO、WBA同級王者のビック・サルダールが、WBA最軽量タイトルの挑戦者決定戦で対峙した。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 4階級を制したミゲール・コトがプロモートするコリアゾは、25歳のサウスポー。

 試合開始ゴングから、アグレッシブに前に出る。序盤に左ストレートをヒットしてペースを掴んだ。元世界チャンプもサウスポーと対戦する際の鉄則通りに右ストレートから入るが、的確さでプエルトリカンに一日の長がある。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 6回、ボディーへの左ストレートでサルダールにダメージを与えたコリアゾは、翌7ラウンドに左ボディーアッパーでダウンを奪う。

 しかし、起き上がった元王者を仕留めようと接近したコリアゾに、サルダールの右アッパーが火を噴く。

 互いにダウンを奪い合った同ラウンド以降は、よりダメージが深いサルダールが失速した。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 貯金を生かしたコリアゾが、118-110、116-112、116-112の3-0で勝利を掴み、挑戦権を手にした。

 プエルトリコの期待を背負う25歳は、6戦目で世界挑戦が決まるか。サルダールは21勝(11KO)6敗となった。谷口将隆を下して以降、直近の5試合で3敗と衰えは隠せない。

 それでも起死回生の右アッパーを放ったところに、元世界王者たる所以を見た。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 試合後、勝者は言った。

 「タフな試合だった。サルダールは強く、ベテランならではの老獪さを持っていた。自分の能力の全てを駆使したよ。

 毎ラウンド、自分を鼓舞してくれたコーナーに感謝する。次はいよいよ世界戦だね。世界チャンプになるよ!」

 サルダール戦の判定負けを肥しとした谷口は、現在WBO同級のベルトを巻いている。同門の後輩、重岡銀次朗もWBC同級1位だ。今後、ミニマム級トップファイターたちが、いかにぶつかっていくか、興味津々だ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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