今後数か月以内に大爆発!人生に一度レベルの天体ショー「かんむり座T星新星」に要注目
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「今年見れる可能性が高い大爆発現象」というテーマで動画をお送りします。
爆発といえばベテルギウスのイメージが強い方も多いのではないかと思います。
実際寿命の末期段階に入っており、遠くないうちに超新星爆発を起こして散ると言われています。
ですがベテルギウスが爆発するのは宇宙規模では最近でも、人類基準で言えば遥か彼方の未来かもしれません。
ベテルギウスは現在ヘリウムで核融合を起こす段階にあり、核融合を起こす物質が尽きて爆発するのは少なくとも10万年以上先のことだという発表も比較的最近ありました。
ですがベテルギウスは無理でも、なんと「かんむり座T星」という天体が今年2024年に大爆発を見せてくれる可能性が高いと話題になっています。
爆発すれば肉眼で見えるほど明るく輝く予想です。
●かんむり座T星
「かんむり座T星」は、地球からかんむり座の方向に約3000光年彼方に存在する恒星系です。
地球からの通常時の見た目の明るさは10等級で、肉眼では全く見えない、マイナーな天体です。
そんなかんむり座T星は、低温で巨大な赤色巨星と、高温で小柄な白色矮星から成る連星系です。
赤色巨星は太陽質量の1.12倍と少し重い程度ですが、その75倍の直径を持っています。
一方白色矮星は太陽の1.37倍程度の質量を持ち、赤色巨星より重いですが、直径は太陽の約109分の1の、地球直径程度しかありません。
そして公転軌道はほぼ円形で、お互いがわずか0.54天文単位離れた状態で228日周期で公転し合っています。
●新星爆発
かんむり座T星のような恒星と白色矮星の連星系は比較的ありふれた存在ですが、この連星系が注目を集めているのは、「新星爆発」という現象がすぐそこまで迫っていると考えられているためです。
一般的に白色矮星の近くに恒星が存在すると、より強い重力を持つ白色矮星に向けて恒星から物質(主に水素)が流れ込み、白色矮星の周りに降着円盤を形成したのち、白色矮星本体に落下しています。
白色矮星の表面は非常に重力が強いため、表面に水素が蓄積すると強烈な圧力がかかり、最終的には恒星の中心部のように核融合反応が起こる環境が整います。
一度核融合が起こると爆発的に進行し、強いエネルギーを放つため、これは「新星」という現象として観測されます。
新星が一度発生すると、白色矮星表面に蓄積した物質が吹き飛ぶものの、物質を供給してくる恒星は付近に存在し続けるので、時間が経てば再び核融合が起こります。
よって基本的に新星は繰り返し起こりますが、多くの新星の間隔は1000年~10万年と推測されており、人類の歴史の中で一度しか観測されていません。
ですが白色矮星が重かったり、恒星が末期で膨張して表面重力が弱くなった赤色巨星だったりすると、速いペースで恒星から白色矮星へとガスが流れ込むため、新星の周期が短くなり、複数の観測例がある場合があります。
このように新星が起こる周期が短く、二回以上爆発が観測されたことがある新星は、特に「再帰新星」と呼びます。
今回の主題である「かんむり座T星」も、恒星が赤色巨星であるため、再帰新星となっています。
○超新星を起こす可能性
白色矮星には安定して存在できる質量の限界値があり、その質量の限界値は太陽の1.4倍程度と考えられています。
その限界値を超えた白色矮星は「Ia型超新星爆発」という、新星爆発とも比べ物にならないほどの莫大なエネルギーが放たれる大爆発現象を引き起こします。
超新星後、白色矮星はさらに高密度な中性子星やブラックホールになります。
一般的に白色矮星は、新星を繰り返すうちに爆発しても吹き飛ばない物質が徐々に溜まっていきます。
かんむり座T星の白色矮星は太陽の1.37倍程度の質量を持つため、宇宙スケールではそう遠くない未来に質量限界を迎え、Ia型超新星を起こすかもしれません。
●今年爆発する根拠
かんむり座T星は、なんと今年2024年に新星爆発を起こす可能性が高いと予想されています。
その根拠を解説します。
まずかんむり座T星は、過去に1787年、1866年、1946年と爆発していることから、その周期は約80年であると推定されています。
前回は1946年なので、周期的に今年起きてもおかしくはありません。
そして、2015年あたりから光度が上昇傾向にある点も注目に値します。
前回爆発した1946年の8年前にあたる、1938年からも増光が続いていた記録があるためです。
さらに、2023年3月頃から明確に減光傾向にありますが、これも1946年の爆発の前年から確認されていた現象です。
以上のことから、今年の2月から9月にかけて爆発する可能性が高いと考えられています。
○地球からどのように見えるのか?
かんむり座T星は普段10等星ですが、ピーク時は2等星に相当する明るさで輝きます。
肉眼で全く見えないほど暗い天体が、突然北極星と同程度の明るさで輝くことになります。
8等級の変化は、元の1500倍以上明るくなったことを意味するので、いかに新星が凄まじいエネルギーを放出する現象なのかが伺えます。
またかんむり座T星は、新星の中でも非常に減光速度が速いことが知られています。
また爆発による増光はほんの数時間という非常にハイペースで起こり、その明るさは最大でも1日ほどしか続きません。
かんむり座は北天の星座ですし、爆発が予想されているこれから9月までの期間がちょうど見頃の星座でもあります。
もういつ爆発してもおかしくない段階なので、非常に希少でエネルギッシュな「新星」という現象を見逃さないためにも、これからしばらくはかんむり座に注目しておくといいかもしれません。